菅義偉首相は24日、インターネットに詳しい自民党の山田太郎参院議員と公邸で会い、ツイッターなどSNSを活用した発信方法などについての助言を受けた。政府が発するメッセージと世論の受け止めに“ズレ”があることを懸念し、首相から面会を求めた。しかし、「問題はそこじゃない」「ツイッターのせいにするな」「他にやることあるだろう」など批判的な声が上がっている。
感染拡大の中で「ツイッター入門」教えを乞う菅首相
山田氏がツイッターへの投稿に関し、事実を淡々と伝えるだけでは不十分で「熱量がなければ拡散しない」と説明すると、首相は「よく分かった」と応じたという。共同通信などが報じた。
作成した50枚以上の資料を見せながら、首相が若者に呼びかける行動変容をはじめ、政府のメッセージが届いていないことへの対策も指南。首相は苦笑いしながら聞いていたと山田氏が明らかにした。
菅首相のツイッターが「つまらない」のは事実。だが――
菅首相がツイッターをスタートさせたのは2012年10月。当時は民主党政権下だったが、野党だった自民党の総裁に安倍晋三氏を推したことで、菅首相は自民党の幹事長代行を務めていた。
現在、菅首相のTwitterのフォロワー数は39万人。永久停止されてしまったが、米国のトランプ前大統領が8,877万人だったことを考えるとあまりにも少なすぎる。
【関連】国民をバカにするだけのお仕事?菅首相「棒読み施政方針演説」の異常性
なぜ菅首相のTwittここまで人気がなく、発信力にとぼしいのか。その理由は菅首相のTwitterを見れば明らかだ。
感染対策の決め手となるワクチンについて、3億1,400万回分の供給を受ける契約の締結に至りました。
ワクチン接種に必要な費用は国が負担します。
国民の皆さんに安全で有効なワクチンを速やかにお届けし、一日も早く感染を収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻す。政府を挙げて取り組みます。 pic.twitter.com/ZhP0MmQW2D— 菅 義偉 (@sugawitter) January 22, 2021
ただ事実を淡々と述べているだけで、思いや感情が何も入っていない。山田氏が指摘した“熱量”がまったくないのである。まるでニュース原稿をそのままツイートしたかのような文面だ。
というのも、このツイッターは菅首相が自ら発信しているものではなく、事務所スタッフが運営しているもの。菅首相の思いが伝わらないのは当たり前で、ツイッターを介して国民の感情を揺さぶることは不可能なのだ。
政治家の中でも抜群の発信力を誇る河野太郎行革相のツイッターのフォロワー数は223万人。もちろん全て自分の言葉で発信している。
【関連】懲役で恫喝も。コロナ蔓延の責任も取らず罰則を科す菅政権の意味不明
SNS活用でも熱量でもない、菅首相に致命的に欠けているもの
山田氏からツイッターによる発信についてレクチャーされた菅首相だが、新型コロナウイルスの感染拡大による一連の対応批判は、本当にそこが問題なのだろうか。
もちろんそんなことはなく、後手後手に回った政府の中途半端な対策が現在の感染拡大を招いたことは明らか。
現場の医師やジャーナリストからは、「今はそのアドバイスではない」「熱量の問題ではない」など疑問の声が聞こえてくる。
今そのアドバイスではないと思います。
GOTOに1兆円の補正予算?
感染状況や医療の逼迫、皆保険制度崩壊の危機に、ツイッターのやり方をアドバイスしたり、また、旅行にお金を使おうとするのは違うと思います。https://t.co/Ek07gnuHZN— 倉持仁 (@UCiS7MEgWj6L7cV) January 24, 2021
熱量の問題ではない。https://t.co/G74HbYiWff
— 津田大介 (@tsuda) January 24, 2021
【関連】菅首相の陰湿な正体。「一斉PCR発表」の広島県が国から受けた仕打ち
菅首相の発信力が弱く、メッセージ性が乏しいのは事実。しかし、それは会見や国会演説において、まともに質問に答えようとせず、原稿の棒読みに終始し、常に国民をはぐらかすような発言ばかりを繰り返しているからで、ツイッター云々の問題ではない。
この期に及んでツイッターでの発信を見直そうという動きは、河野行革相やトランプ前大統領に影響されてしまったのだろうか。