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バイデンが習近平に突きつける屈辱の3要求。トランプ退陣は中国屈服の合図だ=勝又壽良

トランプ退陣で威勢を取り戻した中国は、水面下でバイデン政権との交渉を持ちかけている。しかし、それは空振りに終わりそうだ。バイデン政権は同盟国も合わせたチーム力で中国を追い詰めている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年1月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

トランプ退陣で態度を変える中国

米国バイデン大統領が就任した。これまで4年間、トランプ前大統領に攻められっぱなしであっただけに、さぞかし鬱憤が溜まっていたと見られる。中国外務省は1月21日、トランプ前政権で国務長官を務めたポンペオ氏ら28人に制裁を科すと発表した。鬱憤ばらしをしたのだ。

制裁内容は、中国本土や香港、マカオへの入境を禁じる。また、関係企業・団体の中国での経済活動を制限するというもの。この発表は、バイデン氏の大統領就任直後に行われたのである。

トランプ政権中に制裁しなかったのは、報復を恐れた結果だろう。現役でなくなった人間へ制裁を科しても意味はない。遠吠えなのだ。中国、弱さの証明である。

トランプ米大統領の任期が切れる数時間前、中国国営の新華社通信は20日、英語のツイッターアカウントから「いなくなってせいせいする、ドナルド・トランプ!」と投稿した。投稿には「厄介払い、トランプ政権と政権末期の狂気」と題した16日掲載の論説のリンクが貼られていたという。

その論説では、任期切れ間近にトランプ政権が打ち出した中国を標的とする措置を「ばかげた見せ物」と断じ、新政権の米政策担当者に対し、米中関係が「一握りの過激派によって間違った方向に」導かれないよう求めた。

前政権の悪口三昧の中国外交

中国はここまで前米政権を批判・罵倒している。

バイデン政権が、これをどのように受け止めているかといえば、何ら臆することなく米中対立の長期化を予告するのだ。米新政権は、人権擁護や民主主義防衛という普遍的な価値を前面に打ち出しており、前政権以上の対決姿勢を取る構えである。

特に注目すべきは、新政権が同盟国重視を掲げている点である。前政権は、欧州同盟国とギクシャクしていたが、これを修復して一丸となって中国に対抗する姿勢を取っている。この点は、中国にとって気懸りであろう。

新華社通信は、英語のツイッターで「いなくなってせいせいする、ドナルド・トランプ!」と投稿するほど感情的になっている。米国バイデン政権が、これを喜ぶとでも思っているのだろうか。もしそうだとすれば、とんだ見当違いの「発信」と言うほかない。

トランプ政権も米国政権である。外国から悪口を言われて、喜ぶ後継政権はいない。中国への警戒姿勢は、前政権と変らないからだ。中国は、そういうデリケートな気持ちが分からないのだろう。

中国は、米国とのこじれた関係を立て直すため、外交担当トップを派遣してバイデン大統領側近らとの高官級会合にこぎつけ、首脳会談を実現させたい考えを持っていると指摘されている。中国当局者はこれまで水面下で会談を要請していたが、バイデン政権の国家安全保障チームや他の政府機関へ正式な要請を行っていない。

米国『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(1月23日付)によれば、中国は、米中間の亀裂が深まっていることや、対面での会談申し出が拒否されることへの警戒感で、バイデン政権との交渉に慎重になっている、と報じている。

中国は、それでもなお水面下で米国へ働きかけを行っている理由は、次の点にある。

1)中国の貿易や技術への制裁
2)中国の領土権主張への拒否
3)中国の人権抑圧問題による摩擦

次頁で詳しく解説したい。

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