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帝国ホテル「月額36万円」定住プランに不動産業界激震。他ホテル追随なら影響大、客の本音は?

日本有数の高級ホテルとして知られる帝国ホテルが、定額制の「サービスアパートメント」事業を始めると報じられたことが、ネット上で大きな反響を呼んでいる。

都内にある帝国ホテル東京では、タワー館の3フロアの一部を改修し、99室を専用のアパートに切り替えるとのこと。食事はルームサービスによる利用者専用のメニューを開発し、1か月6万円で利用できるほか、洗濯は1か月3万円でいつでも依頼可能。さらにコーヒーや紅茶が飲めるラウンジや駐車場やフィットネスルーム、プールなども追加料金なしで利用できるなど、ホテルならではのサービスを提供する。

受付開始は2月1日からで、まずは3月15日から7月15日までの予約を受け付ける。価格は約30㎡の客室で、税・サービス料込みで30泊で36万円で、約50㎡の客室(同60万円)なども用意。最低5泊から利用できるという。

帝国ホテル暮らしなら「マウントが取れそう」

今回の報道をきっかけに、一躍脚光を集める形となっている「ホテル暮らし」。ある一定の年齢以上のネットユーザーからは、晩年に長らくホテル暮らしをしていたという映画評論家の淀川長治さんを連想したという声が多くあがる。

また最近では、俳優の矢崎滋さんがすでに芸能活動を引退し、東北地方の田舎町にあるビジネスホテルを終の棲家として生活していると報じられ、大きな話題となったことも記憶に新しい。ちなみに矢崎さんは1泊5,000円の部屋に月に15万円を払い、約20年に渡って長期滞在しているという。

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ホテル暮らしのメリットとしては、その優雅な暮らしぶりや立地の良さもさることながら、セキュリティが万全でセールスなどの望まない訪問者が来ない点。また毎日掃除をしてくれるので、常に清潔で汚部屋になることがないということを挙げる人も。さらに、電気代・ガス代・水道代なども掛からず、トイレットペーパーなどの生活消耗品もホテル代に含まれるため、却ってコスパが良いのではという声も多い。

それだけに、今回帝国ホテルが打ち出したプランに対しても「安い」「利用したい」といった声が多数寄せられる結果に。なかには、帝国ホテル暮らしなら「マウントが取れそう」といった邪な意見も飛び出すなど、「夢のホテル暮らし」に多くの人が想いを巡らせているようだ。

他のホテルにも「より安価に」波及しそうな情勢

とはいえ、今現在の生活から抜け出してホテル暮らしへ移行するには、現実的な数々の障害が存在することも事実のようで、「モノが多いから……」「家族持ちじゃなかったら……」「ペット不可じゃなかったら……」といった声も多くあがる。さらにいえば、コロナ禍でリモートワークの導入が広まったこともあり、ここ数ヶ月は東京からの人口流出が続いているなかで、都内のど真ん中に住むプライオリティーは、以前よりも確実に下がっている状況でもある。

また、それらの事情以前に「実際、月々40万円程度を払える人間は少ないのでは」といった、至極冷静な意見も。確かに、30泊36万円の部屋にプラスして食事と洗濯のサービスを付ければ月々45万円、年間では540万円が掛かるわけで、巷でよく耳にする「住居費は収入の3割」という定説に従えば、年収1500万円以上は必要か。食費や生活消耗品などの費用がホテル代に含まれていると考えても、最低でも4ケタ万の年収がなければ、維持していくのは難しそうである。

ただ、今回と同様のサービスは他のホテルにも波及していきそうと考える人は多く、「帝国ホテルがこのお値段なら、他のホテルはより安くせざるえないだろう」といった見立ても。さらに、この手のサービスが広く波及していけば「マンションを借りたり買ったりする人が減るのでは」といった声も、多くの人からあがる。確かに資産性のある物件を購入して住むならともかく、数年借りて住むぐらいなら、ホテル暮らしのほうが何かと面倒がないのではという考えも、分からなくはない。

ホテル業界が一様にコロナ禍の影響による稼働率の低下に悩まされる最中、誰もが知る高級老舗ホテルが下した今回の決断は、同業者間はもとより不動産業などといった業界外にも大きな波紋が広がりそうだ。

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