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淘汰されて当然?1円500枚両替“手数料400円”に苦しむ老店主の嘆きに賛否、あなたの意見は

銀行の両替手数料改定によって、大きな負担を背負うことになった「キャッシュレスの波に乗れない商店主」を取り上げた神戸新聞の記事に対して、様々な反応が飛び交う事態となっている。

記事によると、その店は神戸市内にある下着専門店。薄利多売がモットーな故か、女性用下着1枚699円、5足セットの靴下は499円といった値付けをしており、釣銭用に多くの1円玉が必要。多い日だと100枚ほどの1円玉を扱うとのこと。

ところが、今年1月末までは支店などの両替機で専用カードを使って両替する場合、硬貨500枚までは無料だったのが、この2月からは500枚まで400円、501~1000枚なら800円の手数料が必要に。つまり500円分の1円玉を両替してもらおうと思うと、手数料が400円かかることになるという。

同店の店主は、改定後の年間の両替費用は約3万円にのぼると見込んでおり、「薄利多売の商店には痛い」とこぼしているという。

どっちに転んでも手数料の負担が…

各銀行における両替時にかかる手数料を改定する流れは、昨年あたりからネット上でもチラホラと話題となっており、年末には神社関係者による「1円玉のお賽銭は手数料で消える」という何気ないツイートが、大炎上してしまうという出来事もあった。

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その際に取沙汰されたのが、銀行にとって両替業務は手間ばかりで儲けなどほとんどないという実情。さらに小銭の集計機は、稼働させるほど機械にすぐ汚れが溜まって故障してしまうことが多いなど、自動集計とはいえメンテなどに費用が結構かかるという事情もあるようだ。

そういう点を考えると、両替の手数料が金額ベースではなく、両替する枚数の多寡で変わるというのも頷ける話だ。ただ「500枚まで400円」というのは、両替業務でもしっかり利益を出したいというよりも、むしろ「もう両替しに来ないでくれ」という意思が強く感じられる、そんな価格設定である。現に、神戸新聞の取材に応えた銀行側は「両替有料化はキャッシュレス化促進の一環」というコメントを出している。

とはいえ、キャッシュレス決済を導入するとしても、おいそれとは踏み切れない事情もある。まずカードを読み取るためのリーダー端末が必要となるが、クレジットカードのみに対応しているタイプでも10万円前後、電子マネーにも対応しているものなら20万円前後かかる。さらに導入後の決済手数料は店側が負担することになり、個人経営の商店だとだいたい3%~5%以上かかるという。今回のケースのような薄利多売の商売だと、その負担感は特に大きいものとなりそうである。

拙速なキャッシュレス化が招く「弱者切り捨て」

従来までの商いのままだと、これまで以上の両替手数料を銀行に取られ、だからといってキャッシュレス化に踏み切れば、初期投資や決済手数料で金がかかる。そんな、どっちに転んでも手数料が待っているという今回のケースに対し、ネット上では同情的な声が多数あがっていると思いきや、「そういう店は淘汰されても仕方ない」といった意見も大いに幅を利かせている状況だ。

とはいえ、こういったキャッシュレス化の波に乗れない「店」が今だ存在するということは、そういう現金払いの店を利用するキャッシュレス化の波に乗れない「客」も多く存在するということ。キャッシュレス化の波に乗れない店の淘汰は、スマホなどの操作に慣れない高齢層などに一定数存在するとされる、いわばキャッシュレス弱者たちの切り捨てではないかと、憂う意見も多くあがっている。

諸外国と比べてその普及率がかなり低いこともあって、近年は国も躍起になって起こそうとしているキャッシュレス化の波。しかし、その焦りが生む拙速さが故に、波に飲まれて溺死寸前の人間も出てきている現状に対して、一度よく考えてみることが必要な段階に来ているのかもしれない。

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