今の日本は確かに経済格差は広がっているが、まだ経済格差による「分離」は極端ではない。だから、たとえば金持ちが住む地域の住民がそうでない地区に行かないということはない。その逆もまた然りだ。しかし問題はこれからだ。日本は、今のような混成社会を維持できるのだろうか。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
コロナは、経済格差をブーストする社会現象だった
コロナ禍は人々の健康を破壊するだけでなく、経済面でも人々を脅かす存在となる。コロナ禍で真っ先に解雇されるのは非正規雇用者で、何とか守られるのは正社員である。そのため、非正規雇用者の立場はコロナ禍で修羅場と化す。
正社員は「何とか」会社にしがみついていられれば、賃金の落ち込みやボーナスの削減はあったとしても、会社が何とか経営できていればコロナ禍でもほどほどに生き残ることができるだろう。
一方で、コロナ禍でも大きく資産を増やすのが株式等の金融資産を保有する富裕層である。政府はコロナで悪化する経済を下支えするために、大がかりな金融緩和や財政出動をしたので、これらの金がすべて金融市場に回って株価を押し上げた。だから、株式市場はどこもコロナ前よりも高値を保っているのである。
つまりコロナは、経済格差をブーストする社会現象だったのである。
コロナ禍以前から、経済格差はどんどん広がっていた。最初は少しの差であった格差は、やがては1,000倍も2,000倍も、いや1万倍も2万倍も開いて、もはや貧困層がどうあがこうが克服できない。
この極度なまでの経済格差が定着すると、その後に何が来るのか。それは、「経済による社会の分離」である。
世界は貧富「分離」に向かっている
世界の多くの国では、ひとつの国家が見えない層(レイヤー)で「分離」されている。そのレイヤーとは経済格差のレイヤーである。この経済格差の上と下とでは生活も文化も考え方も違う。場合によっては話す言葉までもが違ってくる。
メキシコでも、ブラジルでも、アメリカでも、イギリスでも、安全な地域と危険な地域は明確に「分離」して存在している。
分かりやすく言えば、金持ちたちが集う地域は安全だ。そして貧困層が集う地域は治安が悪い。だから金持ちは貧困層がいる地区には決して足を踏み入れないし、逆に貧困層が金持ち地区に行っても警備員や警察に追い出される。
それが定着すると、世界中どこでも貧困層と富裕層は自然に、明確に、完全に「分離」し、長い年月を経て同じ民族でも違う文化や生活になってしまうのだ。
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