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情報強者の若者が困窮するのはなぜか? IT化社会に潜む貧困の落とし穴=鈴木傾城

若年層の貧困は、皮肉にも超高度情報化社会の中で起きている。大量の情報が役に立つのであれば、情報にアクセスする能力が最も高い若年層がもっともうまく立ち回り、成功に至る道をインターネットで検索して選択し、欲しいものを手に入れているはずだ。実際にはそうなっていない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

多くの人が情報に翻弄されて混乱した姿がそこにあった

極度なまでに増え続ける情報の中から、私たちは欲しい情報を検索エンジンで即座に手に入れることができるようになった。ところが自分が万能になったのかと言われれば、まったくそうではないことに多くの人が気づいている。

たとえば、以下の問いかけを自分にしてみるだけで、すぐにそのことが分かる。

「大量の情報に接して正確な判断になっただろうか?」
「大量の情報に接して悩みが減っただろうか?」
「大量の情報に接して金持ちになっただろうか?」
「大量の情報に接して生きやすくなっただろうか?」

インターネットにはこれだけ大量の情報があるのだから、自分の抱えている問題を検索して、すぐに答えを見つけて、悩みも迷いもなくなったのだろうか。

これだけ情報があるのだから、金儲けのネタがすぐに見つかって、人々はみんな金持ちになっているのだろうか。「金持ちになりたい」と検索したら大量の情報が出てくるが、それで金持ちになれるのだろうか。

大量の情報が検索できるようになっても、人々はどのように判断していいのか分からず、むしろ混乱してしまっている。ますます混乱の度合いが深まっている。

2020年11月のアメリカの大統領選挙における大量情報と人々の判断は興味深い現象だった。

ドナルド・トランプが絶対に当選するという人々と、ジョー・バイデンが絶対に当選するという人々が、互いに陰謀論からオカルトから意図的なフェイクから誤認まで含め、ありとあらゆる「大量の情報」を垂れ流していた。

「大量の情報に接して正確な判断になった」どころか、多くの人が情報に翻弄されて混乱した姿がそこにあった。私が言いたいのは、選挙結果云々の経緯ではない。「大量の情報に接しても、人々が正確な判断はできなかった」という点だ。

人生で悩む問題は、だいたいが両極端な意見がある

私たちは教訓を得なければならない。その教訓というのは「大量の情報があったとしても、それだけでは意味がない」という点だ。

現在、ほとんどの人々はスマートフォンを手にしている。手のひらにインターネットがある。そして、いつでも情報を調べることができるようになった。情報が入りやすくなった。

それならば、それに比して悩みが減っていてもおかしくない。

ところが、超高度情報化の時代になっても、人々は相変わらず判断に迷い、答えが出せずに悩み、選択を間違えて苦しんでいる。悩みは減らず、金持ちにもなれず、生きやすくなることもなかった。

人々は迷いも悩みもまったく解決できていない。むしろ、大量の情報にアクセスできるようになればなるほど、逆に精神的な安定から遠ざかってしまっている。情報がどんなに大量であっても、人々は安心を手に入れることができない。

大量の情報を前にして何か選択しても、「これでいい」という安心感を得ることができない。

かつては「情報がない」から人生の悩みと迷いは解決できないと思っている人が多かった。しかし、もうそうではないことを誰もが知っている。いくら情報が大量にあっても同じだったのだ。

大量の情報に接しても、依然として、人々はどう生きていいのか分からない。大量の情報がなだれ込んできても、人々は自分の人生に立ちふさがる問題をどう処理していいのか分からない。

逆に、大量の情報に接すれば接するほど、よけいに正しい道が分からなくなる。なぜなら、「相反する情報」が大量の情報の中にあるからである。

それは、2020年のアメリカの大統領選挙でも全世界の人たちに可視化された。「陰謀論」「オカルト」「意図的なフェイク」「誤認」が大量に飛び交って、相反する情報が同時並行的に提示され、人々は好き勝手にそれを選択し、自分の意見を他人に押しつけた。

Next: フェイク一掃でも解決しない。同じ事実を見ても見解は180度変わりうる

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