再び感染拡大の恐れも。政府の「まん延防止措置」に感じた危険性

arata20200924
 

新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正案が衆参両院を通過し2月3日に公布、13日には施行されます。今回の改正で新たに規定された「まん延防止等重点措置」について、政府は緊急事態宣言解除後に適用する検討を始めたと毎日新聞が伝えました。この方針に違和感と不安を抱くのは、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』の著者でジャーナリストの内田誠さんです。内田さんは「まん延防止措置」に関する過去の記事から想定外の適用時期の検討に政府の焦りを読み解き、その危険性を指摘しています。

「まん延防止措置」を毎日新聞はどう伝えたか?

《毎日》からです。1面左肩に特措法改正による「まん延防止措置」についての独自記事があります。法律用語としては「まん延防止等重点措置」となるので、《東京》の検索を借りて引いてみると、22件ヒットしました。すべて、新型コロナウイルス対応の特措法改正案に関わる、今年1月以降の記事。この22件を見ていくことにします。

【フォーカス・イン】
まずは《毎日》1面の対象記事の見出しから。

緊急事態解除後に移行
コロナ「まん延防止措置」
政府検討

政府は、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の成立を受けて、緊急事態宣言を解除する対象地域の感染状況に応じて「まん延防止措置」に移行する検討に入った。現在、宣言の対象になっている地域について、13日の改正特措法施行から3月7日の解除期限前に移行が可能かどうか、調整するという。

「まん延防止措置」は当初、緊急事態宣言に至る前の段階で適用するものと見られていたが、宣言解除後の移行も可能とする。

●uttiiの眼

かなり分かりにくい内容の記事。「緊急事態宣言」よりも緩い措置である「まん延防止等重点措置」を、当初は「緊急事態宣言」を出す前に適用するものと見られていたが、宣言を解除した段階で出すことを想定して、その条件を定めておこうとしているものと見られる。

なぜそんなことが必要になるか。どうも、これによって、一般論で言えば「地域指定の柔軟性」が確保できるからということのようだ。宣言は形式上、都道府県単位で発出されるが、実際にはそれより広く、住民に共有されている「生活圏」(例えば関東南部の1都3県)単位で出され、解除されていく。しかし、解除にあたっても「生活圏」全体で感染が収束しなければ解除できないのは「不都合」。そこで、とりあえず3月7日までとなっている緊急事態宣言を、地域ごとに判断してできるだけ早く解除していく。全面解除となる前の措置として、「まん延防止等重点措置」の段階を用意しておくということのようだ。

ここで言う「不都合」は、経済活動の再開ができないということに他ならないだろう。この「まん延防止等重点措置」をまだ十分に感染が収束していない地域に細かく指定していくことによって、そこでは規制を緩め、多くの地域で段階的に経済活動を再開できるようにしたいのだろう。根拠はないが、こうした“知恵”は、「経産官僚」的な頭の働きによるものかもしれない。感染状況の推移によっては、宣言解除は早かったのではないかという批判が起こることもありうるように思われる。

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