【書評】「縦一行で伝えろ」日本人ノーベル賞受賞者からの超難問

Oslo, Norway - Aug. 12, 2018: Nobel Peace Center, Oslo, NorwayOslo, Norway - Aug. 12, 2018: Nobel Peace Center, Oslo, Norway
 

欧米人と日本人とを比べると、文化や考え方など異なる部分は多くありますが、その中でも際立って違うのは「論理型か感覚型か」というところだといいます。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、日本人ノーベル賞受賞者と多く交流を持つ著者が、彼らの持っている「日本的感覚」について語る興味深い書籍を紹介しています。

偏屈BOOK案内:山本尚『日本人は論理的でなくていい』

91Moo--Y4fL

日本人は論理的でなくていい

山本尚 著/産経新聞出版

著者の肩書きや経歴、受賞歴などがすごいのでおそるおそる本を開くと、意外にわかりやすく、しかもそこそこ面白かった。

しかし、全体の構成がなんとなく流れがいまいちで、ビミョーな日本語表現もあったりして、これは著者のせいか、まとめた編集者のせいか、いずれにせよ、それほど面倒くさくはない本だ。

ユングのタイプ論を用いて世界の民族を分類した研究では、日本人は内向型で感覚型でフィーリング型(気持ち型)である。この民族性は世界150の民族の中でも際立っており、このような民族は日本人しかないと言われるほど特異であるそうだ。

一方でヨーロッパ人にとって言葉とは論理的なものであり、ラテン語はまるで数式のようである。著者は多くの日本人ノーベル賞受賞者とつきあってきたが、ほぼ全員がフィーリング型(気持ち型)だった。日本人は抽象的に考えることが嫌いであり、そのために日本語には抽象名詞が少ない。

確かに、日本人は論理的に考えることは苦手である。湯川秀樹は「日本人のメンタリティーは多くの場合、抽象的思考には適していない。感覚的事象にしか興味を示さなかった」と言っていた。そこで周囲を見渡すと、感情を抜きにして本当に理論だけで生活をしている人は非常に少ない。いや、一人も見あたらない。これは欧米の人たちとは際だって違っているところだそうだ。

print
いま読まれてます

  • 【書評】「縦一行で伝えろ」日本人ノーベル賞受賞者からの超難問
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け