政府は、今春にも賃金のデジタル払いを解禁するようです。会社は、銀行口座を介さずに、社員のスマホの決済アプリなどに振り込めるようになります。具体的には、PayPayや、LINEペイ、楽天ペイなどになるのでしょうか。(『生活マネー ミニ講座』中村宏)
プロフィール:中村宏(なかむら ひろし)
山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。個人相談件数は1,500を超える。セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力等でも活躍。
山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。個人相談件数は1,500を超える。セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力等でも活躍。
賃金支払いの5原則
近い将来、給料がPayPayなどの電子マネーで支払われることも考えられます。
労働基準法には、賃金支払いの5原則が明記されています。
<1. 通貨払いの原則>
ここでいう通貨とは、国内で強制的に通用する貨幣(銀行券、鋳造貨幣)のことです。
外国通貨や小切手は、換金の不便さ、価値の変動リスクがあることから認められていません。
現物給与(通貨の代わりに商品渡すなど)も、換金の不便さや価値が減少する可能性があることから認められていません。
<2. 直接払いの原則>
賃金は、本人に支払わねばならず、親族などの代理人への支払いは違反です。
<3. 全額払いの原則>
賃金は、全額を払わねばなりません。貯蓄等の名目で、賃金の一部の支払いを留保したり、貸付金と相殺してはいけません。ただし、税金や社会保険料など、法令に基づくものはOKです。
また、労働組合等と労使協定を締結した場合は、賃金の一部控除(貯蓄目的などで差し引くこと)が可能になります。
<4. 毎月1回以上払いの原則>
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
<5. 一定期日払いの原則>
賃金は、毎月一定の期日を決めて、定期的に支払わなければなりません。
さて、多くの会社員は、賃金を銀行振り込みで受け取っていることと思います。実はこのことは、原則(1)の「通貨払いの原則」に背くことになります。
しかし、労働者の同意を得た上で、金融機関に振り込むことが例外的に認められているのです。
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