鹿児島県警のサイバー犯罪対策課がツイッターで発信した「ゲーム障害」に関する投稿が、ゲーマーなどから集中砲火を受ける事態となっている。
報道によると、問題になっているのはサイバー犯罪対策課のアカウントが10日に投稿した「スマホでゲームをする時間を自分でコントロールできますか? 日常生活よりゲームを優先していませんか? 社会生活に問題が生じているのにゲームを続けていませんか? それは『ゲーム障害』という精神疾患です。大切な人間関係、仕事、人生を失う前にゲームをやめましょう」というツイート。
これに対して批判の声が多く集まる結果となり、同ツイートは削除。その後「当該ツイートにおいて不愉快な思いをされた方については誠に申し訳ありませんでした。」という、お詫びのツイートが投稿されている。
先日発信したスマホゲームに関するツイートを削除致しました。
当該ツイートにおいて不愉快な思いをされた方については誠に申し訳ありませんでした。— 鹿児島県警察本部サイバー犯罪対策課 (@kagokei_cyber) February 12, 2021
鹿児島県警の謝罪にも批判の声が
今回取沙汰されている「ゲーム障害」とは、ゲームへの過度な依存によって日常生活に支障をきたす状態にある状態を指すものと一般的には定義されており、2019年には世界保健機関(WHO)が、このゲーム障害を国際疾病として正式に認定している。
今回の鹿児島県警による「『ゲーム障害』という精神疾患」という発言も、このことを根拠にした可能性がかなり高いワケだが、ただその肝心のWHOによる認定自体にも疑問の声はかなり多いようで、さらに日本の厚生労働省も疾病とはまだ正式に認めていないという。
『ゲーム障害/Gaming disorder』を記載したWHOのICDは、つい最近まで同性愛を精神障害扱いしてたような分類なんだぜ。それくらいガバガバなやつも入ってると繰り返したい。新しく『●●障害』なんて言い出された奴を即座に、病気だ疾病だ疾患だって騒ぎ恐れることは、科学的には非常に愚かな対応です。
— 炬燵どらごん⋈ (@okotatsudoragon) February 13, 2021
ゲーム障害。私は基本的に「久里浜利権」と言い換えるようにしています。根拠はなくともカネさえ払えばWHOに新しい障害を認定させることが可能であると世界に知らしめました。更にそれを「疾病」と誤解させてマッチポンプ的に金を稼ぐ凶悪なシステムです。 https://t.co/SfKSme65ky
— 規定千尋 (@chihiro_kitei) February 13, 2021
さらに批判の声があがっているのが、なぜこんなことを、警察に言われないといけないのかという点だ。ネット上では「警察に言われる筋合いはない」といった声、さらに警察が「精神疾患」という言葉を安易に使うことの人権意識としても問題点を指摘する意見もあがる。
#ゲーム障害
こんなこと鹿児島県警に言われる筋合いはない。 pic.twitter.com/u93eoLopkK— juliet358471 (@romeo1386249) February 13, 2021
そもそも警察が「精神疾患」といった言葉を安易に発言することは精神疾患患者や精神障がい者を犯罪者予備軍と見做しているも同然であり,人権的に非常に問題があると考えます。#kagoshima #鹿児島
— spinda-kkmr (@spinda_kkmr) February 12, 2021
このように「ゲーム障害」というもの自体がれっきとした疾病として認められていないのではという点と、さらに医者でもない警察がそれを「精神疾患」だと判断している点が、今回批判を集めている主な原因のようだ。しかし対する鹿児島県警は、それらの問題には触れず「不愉快な思いを…」とのコメントで幕引きを図ろうとしており、その対応にもまた批判の声が集まっている。
「不愉快な思い」ではないんです。『それは「ゲーム障害」という精神疾患です』という考え方の根拠は何なのか、何故その発言を削除したのか、そこをきちんと説明していただきたいのです。 https://t.co/mol3bK64JC pic.twitter.com/AgnKWzchk3
— 濡れT (@wettshirt072) February 12, 2021
他の方々も指摘していますが、「不愉快な思いをした事」は問題の要点ではありません。科学的な根拠が未解明であり、厚生労働省も認めていないゲーム障害を、県警の公式アカウントが「精神疾患です」と断定した事です。また、「12ヶ月以上続いた場合」が書かれていなかった事も問題だったと思います。 https://t.co/sciaVllJlv
— 近藤 顕彦【 ⋈ 】ミクさん大好き (@akihikokondosk) February 12, 2021
「このツイートの何が悪いの?」との声も
このように、ツイート削除後も批判の声はエキサイトしていくいっぽうなのだが、その反面で特にゲーマーでも何でもないといった層からは、「このツイートの内容の何が悪いの?」といった声も多くあがっているのも事実である。
ゲーム障害での鹿児島県警のツイートが云々っていうの、別に内容はおかしくないなって思う
— sunが2ウサギ@3月からの絵仕事募集中 (@sunga2usagi) February 13, 2021
至極真っ当なこと書いてるのに、なぜ批判集まるのか
ゲーム障害巡る投稿削除、鹿児島 県警公式ツイッター、批判集まり | 共同通信 https://t.co/YVzWeFRxkH
— 流星ちゃん (@ryusei_poyo) February 13, 2021
さらに、今回の鹿児島県警のツイートを批判する人々に対しては、「自分がゲーム障害であることを認めたくないだけでは」「痛いところを突かれたから…」といった冷ややかな反応も見られる。
スマホが普及して、「ゲーム障害」が社会問題として深刻になってきている今、こういう呼びかけは大事だし何も間違ってないと思う。
これを叩くやつは、自分が「ゲーム障害」であることを認めたくないだけなんだろう。#ゲーム障害 pic.twitter.com/AYYdLVuZ1F— こたっきー (@bknb14329647) February 13, 2021
ゲーム障害って言う表現に文句言ってる人をゲーム障害って自覚してる人が叩きまくってるの見るとそういう事なんだろなぁって思う
— RD (@pinchbeck_1214) February 13, 2021
今回の鹿児島県警は、ある意味で警察の常套句である「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」のノリを、ゲーム障害でやってしまった件に関して、その意識の低さやゲームファンへの偏見を指摘されるべきであろう。
だが、大炎上に直面してツイートをすぐさま削除し「不愉快な思いを…」で幕引きしようとするところを見ると、実際何が問題だったかを本当に分かってない可能性はかなり高い、あるいはその問題に対しては議論は避けてやり過ごしたいという思惑が見て取れる。
そのいっぽうで、今回の不適切な発言に対して叩いて論破して削除させたという昨今お決まりの流れが、「ゲーム障害否定派」への理解や支持に繋がったかといえば、必ずしもそうではなさそうである。ゲームに対する偏見や、度々取沙汰される規制を憂う真っ当なゲーマーたちにとっては残念な話だが、上記の通り、今回の件を批判するいわゆる「ゲーム障害否定派」たちの高い意識や熱意は、それ以外の層には正直あまり響いていないようだ。
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