「食器にラップ」「浴槽に水」 震災の教訓生かす―断水続く福島・宮城

2021.02.16
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by 時事通信


地震の影響で断水している世帯のために行われた自衛隊による給水活動=15日、福島県新地町

地震の影響で断水している世帯のために行われた自衛隊による給水活動=15日、福島県新地町

  • 断水のため、給水所に水をくみに来た子どもたち=15日午後、宮城県山元町
  • 給水所で飲料水を受け取る佐藤響さん(左)=15日午前、宮城県山元町

 福島、宮城両県で最大震度6強を観測した地震の被災地では、15日も一部で断水が続いた。「食器をラップで包み洗い物を減らした」「断水に備えて浴槽に水をためた」。住民らは10年前の東日本大震災の教訓を生かし、苦難の時をしのいでいた。
 一時は町内全域の約2800世帯が断水した福島県新地町。県の災害派遣要請に基づき、自衛隊が給水支援活動に当たった。雨が降る中、ポリタンクを持って自衛隊の給水所を訪れた無職男性(73)は「震災で水が不足し、苦労したのでペットボトル入りの水を30本ほど備蓄していた」と話した。
 地震直後から家族3人の飲用、生活水として活用し、「食器をラップで包み洗い物を減らして節水した」と男性。「震災の経験が生きた」と笑顔を見せた。
 震度6弱を観測した宮城県山元町では15日も約900世帯で断水が続いており、町内3カ所に設置された給水所に住民が集まった。
 家族4人暮らしという無職作間忠さん(63)は「10年前の経験を生かし、地震から断水までの1時間で浴槽いっぱいに水をためた」と話す。生活水には困らなかったが、「早くお風呂に入りたい」と話を続けた。
 家族の手伝いで、近所の自宅から2リットルのペットボトルを持参した小学5年の佐藤響さん(11)は「自転車で2往復したけど、あと2回くらい来ると思う。水も食べ物もなくなって大変」と息を弾ませた。仙台市から駆け付けたボランティアの50代男性は、同町は震災時に津波被害も受けたことに触れ、「10年前はもっと大変だったんだよ」と水を注ぎながら優しく声を掛けていた。(2021/02/16-07:04)

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