大阪維新の会が17日にツイッター上に開設した「大阪維新の会 ファクトチェッカー」アカウントを巡って、ネット上では多くの批判の声が飛び交う事態となっている。
【お知らせ】
我が党では、昨今の深刻化するデマ情報の氾濫を受け、住民の皆様に正しい情報を知っていただけるよう情報の真偽を客観的事実をもとに調査し、事実を発信していく公式ファクトチェッカーを開設しました。 https://t.co/genhUE1YXn見逃せないデマ等御座いましたら情報提供ください。 pic.twitter.com/hfIpIXmyvq
— 大阪維新の会 (@oneosaka) February 17, 2021
同じく17日には、大阪維新の会の代表である大阪府の吉村洋文知事が大阪府庁で会見。ファクトチェッカーアカウント設置の狙いを説明した。
報道によると、吉村氏はネット上のデマ、とりわけ“維新憎し”で発信されるデマが拡散されることによって、あたかも本当のことかのように出回る現状を憂いているようで、それらに対して「組織として対応していこうという判断」というのが、設置の目的だとのこと。
具体的な体制としては、「そのための組織を内部で立ち上げて、誰とは言わないがファクトチェックを担当する議員を置いて、その議員の方で事実をファクトチェックのアカウントから発信していきたい」と、自前の人員でファクトチェックのための機関を作ると発言。
さらに、維新版ファクトチェックの“守備範囲”を問われた吉村氏は、デマ情報に対してデマですと反論する以上のことをすることは考えてないと述べつつ、「削除要請とか、どこまでできるのかITに強いメンバーにも入ってもらってやろうと思う」「あまりにデマが悪質なら法的手続きが必要なところがあるかもしれないが」と語ったという。
維新の「疑惑」が改めて蒸し返される事態に
日本国内でも、いわゆるフェイクニュース対策としてファクトチェックの必要性が叫ばれている昨今だが、それを一政党が始めるというのは、これまであまり聞かれなかった話。さらに、吉村氏も17日の会見で「大阪維新の会は改革をやってきたので恨まれやすい」と語ったように、アンチ勢力も多く抱える政党なだけに、今回の件に関しては否定的な意見が多数を占める印象だ。
なかでも多いのが、過去にあった維新やその所属議員たちの問題発言や行動などを、まずは事実検証して欲しいという声。特に2020年8月に吉村氏が緊急会見を開いて突如ぶち上げたものの、その後各所から批判を受けてトーンダウンしてしまった、いわゆる「イソジン会見」に関しては、多くのネットユーザーからファクトチェックを求める意見があがるなど、過去の維新絡みの様々な疑惑や疑問が改めて蒸し返される事態となっている。
イソジンでコロナ重症化が抑制できると記者会見した大阪府知事がいるらしいんですけどファクトチェックしていただけますか。
— 本件の特殊性に鑑み (@pristinanomine) February 17, 2021
第一回目のテーマは…
「イソジンはコロナに効くか?」これを避けては大阪でファクトチェックはできまへんで! https://t.co/Gl7nu5nwUX
— モン・アカ (@djarum1973) February 18, 2021
また、今回の維新版ファクトチェックのツイッターアカウントに掲載されているバナーに用いられているフォントに関し、色々とゆれが存在することに注目する人も。具体的には中国語のフォントが使われている点、あとは「fact」と「checker」でフォントが異なる点などが指摘され、「ファクトチェックよりフォントチェックをしっかりしろ」との声もあがる。
そもそも最大級のデマ、イソジン吉村知事を追求しないマスコミを見れば、維新がどんな政党なのか分かるでしょう。ファクトチェッカーだか何だか知らないけど、「大阪維新の会」ぐらい日本の漢字使え!制作側のPCの設定だろうけど、維新側が校正時に気付きなよ。どんなチェッカーよ。 pic.twitter.com/ALMOD2mu6J
— にこ姉 (@NikoNe_san_2525) February 18, 2021
維新の「ファクトチェッカー」とかいうアカウントは、とりあえずヘッダー画像の「fact」と「checker」のフォントをそろえてくれんか。0ツイートの状態から、すでに雑すぎる。
— 地獄インマイヘッド (@Jigoku_InMyHead) February 18, 2021
さらにネット上で大いに取沙汰されているのが、今回のファクトチェッカーアカウント設置を公表したタイミングだ。というのも、今回の設置が公表された前日というのが、愛知県知事リコールの「不正署名」問題を巡り、リコール運動側がアルバイトを動員して名簿の偽造した疑いが大々的に報じられ、ネット上が大騒ぎになった日だからだ。
リコール側の事務局長を務めているのが維新所属の元議員ということで、維新が不正に関与した可能性もあるのではと噂されるなかでの、今回の維新版ファクトチェッカーの発表とあって、ネット上では「維新関与を疑う声への牽制か?」との見方も。さらに先述の「イソジン会見」と同様に、その件に関するファクトチェックを求める動きも多く見られる状況だ。
このタイミングで維新がファクトチェックを自称するアカウント開始ってのは、名古屋リコール犯罪への維新の関与を「デマ」呼ばわりして逃げ切ろうとしてるの見え見えなんだが、かえって以前から維新が流してきたデマを山ほど返信されて、自縄自縛になってる感すごい。
— Nobuyo Yagi 八木啓代 (@nobuyoyagi) February 19, 2021
ネット上で、愛知県の不正署名に維新が関与している疑いがあるという記事を見ました。
吉村知事も熱心に高須クリニックの先生を応援されていましたので、とても心配しています。
維新の会はこの事件と全く無関係なのか、ファクトチェックをお願いいたします。https://t.co/XUg3gqgTPj
— オオバコの涙 (@poralis) February 18, 2021
第三者の介在しないファクトチェックに意味があるのか?
このように、過去の疑惑が蒸し返されたり、さらには細すぎる部分まで指摘されるなど、維新サイドとしては恐らく思ってもみない展開になってしまった今回の件。とはいえ、当該アカウントに18日に投稿されたツイートによると、現在ファクトチェックにあたる情報の選定中とのことで、維新側としてはやる気は満々のようだ。
ファクトチェッカー【公式】大阪維新の会です。
昨日のリリースから既に沢山の情報をお寄せ頂きありがとうございます。
現在ファクトチェックにあたる情報の選定を行なっており、第一回目のテーマ決まり次第お知らせいたします。引き続き、真偽不明の情報を募集しております。どしどしお寄せ下さい!
— ファクトチェッカー【公式】大阪維新の会 (@oneosaka_factck) February 18, 2021
ただ吉村氏が会見で語っていた、党内部で担当議員を置くなどといった、要は自前の人材でその体制を整えようとしている点に関しては、「そもそも、第三者の介在しないファクトチェックに意味があるのか?」という、至極真っ当な指摘が多くあがっている。
ファクトチェックっていうのは第三者が行うから意味があるのであってですね…(苦笑https://t.co/8mItxMsqnn
— 大神令子(特定社会保険労務士) (@oogami_sr) February 17, 2021
当事者による検証はファクトチェック(FC)とは認められません。第三者にFCを依頼すれば良いわけです。FCの原則を言っているだけのことです。
吉村・大阪維新の会代表「維新憎しのデマに対応」…党公式ファクトチェック/芸能/デイリースポーツ online https://t.co/jwwJiVRoOd @Daily_Onlineより— 立岩陽一郎 (@YoiTateiwa) February 18, 2021
情報の選定よりも公正にファクトチェックをする人の選定が先だと思いますが?
担当の議員がチェックするって言ってますが、外部の第三者がやらないとファクトチェックにならないですよ。 https://t.co/hu1b7jBOef— はすき (@ginyamahasuki) February 18, 2021
このように、とある政党に対しての批判的な言説を、当の政党の人間が事実検証するという、なんともおかしな構図になる危険性も高い維新版ファクトチェック。ネット上からは「批判封じの端緒」「最悪、言論弾圧を正当化する道具を持つことになる」といった、かなり厳しい声もあがる事態になっている。
維新はずっと自分らへの批判に「維新憎し」というレッテルを貼りデマ扱いし謙虚に耳傾けてこんかったやろ。明らかな自党の不正や誤ち(雨合羽、イソジン、大阪ワクチン、住民投票2回目強行)も正してこんかったやん。そんな維新という権力者側のファクトチェックなんか批判封じの端緒でしかない。
— yukan (@yukankmr) February 17, 2021
あくまでも極端な例だが、政府が国民やマスコミの発言を監視しては「これはいい」「これは間違い」と言論の格付けをするようなものだろう。政党みずからがファクトチェック機関になるのは、最悪、言論弾圧を正当化する道具を持つことになる。悪いことはいわん。やめたほうがいい。
— 吉富有治 (@yujiyoshitomi) February 17, 2021
実際、維新版ファクトチェックが真っ当な形で機能するかどうかは、今後の進展を見守るしかない。とはいえ、つい昨日も維新に所属する大阪府議が傷害容疑で書類送検されたと報じられるなど、身内の不祥事や疑惑が相次ぐなかで、その画期的取り組みが好意的に捉えられるかどうかは、いささか疑問符が付くところ。「ネットの監視より、まずは身内議員の不品行の監視、さらに様々な疑惑の解明が先では」というのが、維新の行く末を案じる有権者たちの率直な想いではないだろうか。
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