感染者数とともに「検査数も減」の不可解。都専門家会議が鳴らした警鐘

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緊急事態宣言下の東京都で、新規の感染者数の減少に比例するように減っているのがPCR検査の数。東京都医師会の猪口副会長がこれを問題視し、1日3万7千件の検査能力を戦略的に用いるべきと声を上げました。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが、東京新聞に掲載された戦略的なPCR検査のあり方に関わる記事を検証。以前から、高齢者施設等への集中的な検査の必要性が語られながら、実行されていない現況を見るにつけ、高度な戦略的検査が必要になる東京オリ・パラの開催への不安を訴えています。

都の専門家会議「コロナ検査が戦略的じゃない」批判の声

きょうは《東京》の番です。17面都心版の「新型コロナ」特集で、都の専門家会議で、検査が戦略的に行われていないことを批判する意見が出たとの記事。どのような意味で検査の「戦略性」が問われているのか、かなり重要なポイントだと思われるので、「コロナ」と「検査」、「戦略」の3つのキーワードをANDでつないで検索を掛けると、46件にヒット。

全く違うテーマの記事も多いので、中身を見て見ると、対応する記事は9件にまで絞ることができました。まずは17面の記事の見出しから。

検査 戦略的でない
都モニタリング会議で専門家

都のモニタリング会議が開かれ、東京都医師会の猪口正孝副会長が発言し、最近の検査数が一時期よりも減っている傾向について「戦略的な検査になっていない」として改善を求めたという。

新規に感染が確認された都内の感染者数がピークを迎えた今年1月上旬、検査数は1万8千件を超えていたが、感染者数の減少と共に検査数も減り、最近は1万件を下回る日も多いという。都の検査能力は1日に3万7千件。専門家は高リスク集団への集中的な検査など「検査能力を有効に活用した戦略が必要」と指摘していたという。

●uttiiの眼

猪口氏は「感染に合わせた検査になってしまっている」と言っていて、感染者数の再上昇を防ぐためには、保健所による積極的疫学調査(感染経路の追跡や濃厚接触者の調査)の充実や戦略的なPCR検査が必要だとしている。

周知のように、「保健所による疫学調査」を縮小したことを理由の1つとして、島根県知事の丸山氏が県内での聖火リレーの中止を検討すると発表して波紋が広がっている。都は、保健所の業務逼迫を理由として、追跡調査の対象をリスクの高い人や集団感染の恐れがあるケースに絞るよう1月22日に通知していた。

【サーチ&リサーチ】

*「戦略」という言葉は、この問題に関する限り、「出口戦略」の意味で使われていることが多い。緊急事態宣言のような政策をいつ、どのような条件下で手仕舞いにするかという意味での「出口戦略」。例えば、昨年6月7日付の記事には、次のように書かれている。

「新型コロナウイルスの感染歴を調べる政府の抗体検査が今月、東京など3都府県で始まった。無症状の人の感染歴も分かるため、PCR検査に比べて感染の全体像が把握できるほか、経済活動再開の出口戦略の指標としても期待される」と。

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