原因は北海道。橋本聖子氏が自民スピード離党をためらった裏事情

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五輪組織委員会の森喜朗前会長「失言問題」で突如として白羽の矢が立った橋本聖子前五輪相。2月18日朝の会見では「(自民党を)離党も(議員)辞職もしません」と明言した数時間後に一転、自民離党を表明しました。なぜ橋本氏は離党の決断に時間がかかったのでしょうか。小沢一郎氏の秘書を長く務めた北海道が地盤の元衆議院議員、石川知裕さんはメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』の中で、橋本氏が離党をためらった裏事情を暴露。その背景には「北海道」という土地が深く関係しているようです。

橋本聖子氏は、なぜ自民党をすぐに離党しなかったのか/背景に北海道特有の問題

橋本聖子五輪担当大臣が大臣を辞任し、森喜朗会長の後任として東京五輪組織委員会会長に就任した。 この就任にあたり、オリンピックの中立性を鑑み、橋本氏が議員辞職をすべきかどうかが検討された。 

国際オリンピック委員会(IOC)から「離党も議員辞職も必要ない」という回答を受けたという理由で、橋本氏は参議院議員を辞職せず自民党所属国会議員のままで会長に就任し、朝のぶら下がり会見で「離党も辞職もしません」と話した。 

しかし、野党の猛反発に加え、自民党参議院幹部からも「常識的にあり得ない」という厳しい意見が官邸に寄せられ、自民党を離党することになった。 結果的に朝令暮改を余儀なくされたことは報道でご承知の通りだと思う。 

橋本氏の離党は不祥事を起こしたわけではない。 五輪が終われば復党することに皆が反対しない「今年秋までの一時的な離党」ということは言うまでもない。 だからこそ、少しの間なのに「なぜ離党しないの?」と感じた人も多いと思う。 

議員辞職となると、給与と手当などがゼロになって生活に直結する問題となる。 一方、五輪が終わるまでの離党なら、半年間しかない。 五輪組織委員会会長と参議院議員の兼職となると忙しく、部会など党の行事などに参加する時間もないので、離党することによる実質的なマイナスは少ないからだ。 

この背景には、北海道特有の問題があった。 

橋本氏は、吉川貴盛衆議院議員が鶏卵疑惑で自民党北海道連会長を辞任した後、後任に選ばれていた。 自民党北海道連は吉川派と反吉川派に割れており、反吉川派にとっては久しぶりに身内の橋本氏を道連会長に据えたのだから、何としても手放したくなかったのである。 

「たかが自民党北海道連会長」と思う向きもあるかもしれない。 だが、公認権とお金を実質的に握る道連会長のポストは争ってまで取りたいポストなのだ。 会長になれば経費が使い放題であり、衆議院の小選挙区候補や参議院候補の選定に関与できるからである。 

東京オリンピックが開催されるかどうかは、「まだ五分五分」と私は思っている。 この難しい局面において、五輪組織委員会会長は様々な判断をしていかなければならない。 

だが、朝に断言したことを昼に撤回するようでは、難しい難局を乗り切れるか不安である。

image by: shutterstock内閣官房内閣広報室, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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1973年北海道足寄町生まれ。函館ラサール高校、早稲田大商学部卒。96年2月から2005年7月まで小沢一郎秘書。同年衆院選で北海道11区から民主党公認で立候補して中川昭一氏らを相手に落選、07年3月に繰り上げ初当選。09年再選。10年1月、政治資金規正法違反容疑で逮捕、同年2月に起訴。12年12月、三選。同年5月、議員辞職。2017年10月、妻・香織が衆院議員に初当選。同月、公民権が回復。政界復帰に向け、コツコツと活動中!!! 著書『悪党』は5万部を超える大ヒット作に。そのほか、『雑巾がけ』など著書多数。

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