2015年、建物を支える杭の一部が支持地盤にまで達していないことが発覚し大問題となった、いわゆる「横浜傾きマンション」騒動。先日、販売元と住民らの協議により決定した建替えが完了し、再入居が開始されたとの報道がありました。気になるのはその「市場価値」ですが、専門家はどう見るのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、改めてこの騒動を振り返るとともに、その市場価値についての私見を記しています。
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横浜の傾きマンション、建替え完了、再入居開始
こんにちは!廣田信子です。
皆さんは、横浜市都筑区の傾いたマンションのことを覚えていますか。当時、たいへんな問題となり、私も、10回ほど記事に書いています。最初に書いたのは、2015年10月21日。
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5年4ヶ月も前のことです。月日のたつのは早いものです。
マンション4棟のうち1棟で傾きが見つかり、その原因を調べる中で、支持基盤に到達していない杭が複数本あることが確認され、建物を支える70本の杭のデータが改ざんされていたことがわかったものです。改ざんを行った旭化成建材など工事に関わった3社は国から営業停止などの行政処分を受けました。
そして、販売元の三井不動産レジデンシャルと住民らが協議のうえ、傾きが見つかっていない建物も含め全棟の建替えが進められていました。全棟建替えには、驚きも感じましたが、区分所有者の方々にとっては、たいへんな心労の中でもベストな方向に決まったと思いました。
その全棟の建替えが完了し、2月25日から住民の再入居が始まったことが、報じられました。建替えに当たって、全705戸のうち247戸は、販売会社である三井不動産レジデンシャルが買い取り。残りの450戸が建替えに参加しました。この仮住まいしていた450世帯の入居が順次始まっているのです。三井不動産レジデンシャル所有の住戸については、一般に売り出されるといいます。
三井不動産レジデンシャルは杭について当時と異なる施行業者と工法を採用したとし、「約4カ月にわたる再入居が始まりますが、引き続き誠心誠意対応させていただく所存です」とコメントしているとあります。これだけ、注目を集めたマンションです。施工には万全を尽くしたでしょうし、今後も誠実に対応することと思います。
さて、このマンションの市場価格はどうなるでしょうか?かなり高い評価となるのではないかと思います。
また、貴重な経験をお聞きできる機会もあると思いますが、新マンションの区分所有者のみなさん、まずは、ほんとうにお疲れ様でした。
image by: MAG2 NEWS