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なぜ日本は世界から「性差別大国」と批判されるのか。汚名返上に必要な2つの視点=斎藤満

日本のオリンピック組織委員会の森会長が女性差別とも受け取られる発言をして会長を辞任したことを契機に、日本でもジェンダー問題が大きく取り上げられました。今回の件も含めて、日本ではあまり意識されない中で、海外が日本のジェンダー・ギャップを指摘するケースが多くみられます。海外から見ると「周回遅れ」、場合によっては2周遅れとも見られています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年3月5日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

海外から批判される日本のジェンダー

日本のオリンピック組織委員会の森会長が女性差別とも受け取られる発言をして会長を辞任したことを契機に、日本でもジェンダー問題が大きく取り上げられました。

後任の橋本聖子会長は、女性理事を4割まで増やす意向を示し、女性の積極登用を進めようとしています。

今回の件も含めて、日本ではあまり意識されない中で、海外が日本のジェンダー・ギャップを指摘するケースが多くみられます。

森前会長の発言も、国内ではすくには問題視されず、海外メディアから批判されて火が付いた経緯があります。また世界経済フォーラムがまとめたジェンダー・ギャップ指数2020年では、日本が153か国の中で121位と、ジェンダー後進国性を突きつけました。

多くの日本人(特に男性)の間では、ここまで日本がジェンダー問題を抱えているとの意識が希薄で、こうした海外からの指摘に驚きや違和感を感じるとの声も聞かれますが、少なくともグローバル・スタンダードからは大きくずれていることは間違いなさそうです。

「レディー・ファースト」もまた差別

こうした認識がまったくなかったわけではないことを、安倍前政権の「女性が活躍できる社会」を目指す政策がとられてきた点にも示されています。少なくともこのギャップを縮小しようとの意向は示されました。

しかし、こうした対応は、海外から見ると「周回遅れ」、場合によっては2周遅れとも見られています。

以前、ニューヨークに出張した際、ホテルのエレベーター乗り場だったと記憶していますが、乗り込もうとしたところへ後ろから女性が来られたので、「アフター・ユー・プリーズ」と言って譲りました。その時、その女性は笑顔ながら、「レディー・ファーストという意識自体が差別よ」と言い残して去りました。

女性を弱いもの、保護すべきものと扱ったり、意識すること自体が差別で、男も女も区別しないで一人の人間として同等に扱え、と言いたかったようです。

Next: 周回遅れの対応を続ける日本。埋まらぬ男女間格差

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