韓国市民が文在寅に突きつけたNO。ソウル・釜山市長選で惨敗の与党

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7日に投開票が行われた、ソウル・釜山市長選。野党の優勢が伝えられてはいましたが、蓋を開けてみれば与党の惨敗に終わりました。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、ダブル市長選の結果を詳しく伝えるとともに野党圧勝の理由を分析。その上で、2022年に行われる大統領選に関して「与党にとっては茨の道が待っている」との見解を記しています。

ソウルも釜山もともに「国民の力」勝利

それにしてもソウルの全ての区、釜山の全ての区で、民主党が勝った区がゼロというすさまじい結果となった。出口調査が4月7日夜8時半ごろからニュースに出始めると、国民の力の呉世勲(オ・セフン)候補は、それまでの緊張の連続に多少の安堵を感じながらもバカ喜びすることもなく、いや、むしろ謙遜の色をしみじみとたたえながら涙さえ浮かべつつ「皆さんに感謝します。でも結果の発表をしっかりと見届けてからコメントしたいと思います」と語っていた。あのときの呉世勲氏の表情は、筆者は初めて見るものだった。選挙前の二者討論などのテレビ出演の際には、相手を見下すような上から目線みたいなものさえ感じられ、「いやあ、この表情はマズイ」と筆者を心配させたものだった。しかしどうだ。当選が確実となった出口調査の報道のときの彼は、「勝って兜の緒を締めよ」以上に、自分を選んでくれた有権者の気持ちに対する謙虚さがありありと見て取れた。かなり「いい表情」をしていたのだ。テレビ用に作った表情ではなかった点がうれしい。あのような気持ちを(野党「国民の力」らが)来年の大統領選挙にまで持続してゆけるなら、大選勝利も、十分にありえるものと思われる。以下は、朝鮮日報を土台に、結果をお伝えしたい。

国民の力が7日に実施されたソウル・釜山市長補欠選挙でともに民主党に圧勝した。民主党は2016年の総選挙後、2017年の大統領選挙と2018年の地方選挙、2020年の総選挙まで4連勝を収めたが、今回の選挙で「政権審判論」が強く起こり惨敗した。民主党は2018年の地方選挙と2020年の総選挙の時、ソウル地域の得票率の合計で国民の力に10ポイント以上リードした。しかし、総選挙1年でソウル有権者の地形は野党陣営優勢に変わった。

4月8日午前1時5分基準のソウルでは、「国民の力」呉世勲(オ・セフン)ソウル市長候補(57.35%)が、民主党の朴映宣(パク・ヨンソン)候補(39.43%)に得票率で17.92ポイントリードした。釜山では「国民の力」朴亨ジュン(パク・ヒョンジュン)釜山市長候補(62.84%)が民主党の金栄春(キム・ヨンチュン)候補(34.23%)を制して当選。呉世勲候補と朴亨ジュン候補はソウル(25区)、釜山(16区)の41自治区すべてでリードした。

ソウル有権者の地形は、昨年の総選挙後1年ぶりに野党陣営優勢に変わった。昨年の総選挙の時、民主党はソウル地域の得票率で52.8%を記録し、「国民の力」の前身である未来統合党(41.4%)を11.4ポイントリードした。しかし、今回の選挙では呉候補が朴候補に17ポイント(8日1時5分基準)以上リードした。釜山では、昨年の総選挙で未来統合党が53.0%の得票率で民主党(43.9%)に勝ったのに続き、再び国民の力の優勢が確認された。

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