fbpx

東芝はどこに買われるか? CVCキャピタル「安すぎ」買収案に落とし穴2つ=澤田聖陽

4月7日、英国投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが東芝に対して買収の提案をしていることが明らかになりました。さらに車谷社長が辞任し、ほかのファンドも買収を検討するなど東芝の周囲が騒がしくなっています。今回はCVC提案の裏側と、今後の東芝の対応について解説します。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

【関連】楽天・日本郵政は郵便局でスマホ売ってる場合じゃない。王道の2大事業に大きな成長可能性=澤田聖陽

※毎月第3木曜日19:30よりまぐまぐ!Live配信予定「『投資に勝つ』ための最新ニュース解説
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2021年4月13日・14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

東芝に複数ファンドが買収提案

2021年4月7日、英国投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズ(CVCキャピタル)が東芝に対して買収の提案をしていることが明らかになりました。1株5,000円、総額約2兆円の買収で非上場化し、3年後を目途に再上場するという提案内容のようです。

さらには、東芝の車谷社長が辞任し、後任として綱川会長が復帰すると報道されています。また、投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・アンド・ロバーツ)も東芝の買収を検討しているとのこと。買収価格は200億ドル(約2兆2,000億円)を上回る金額とされており、このあたりの細かいところは本日4/15(木)19時30分からのまぐまぐLive配信で解説いたします。

今回の記事では、CVCキャピタルの狙いと、それを受けた東芝の今後の対応について考えます。

CVCキャピタルは1981年設立の老舗のバイアウトファンドであり、イギリスを本拠地としながら、世界アメリカ、日本など世界23カ所に拠点を置くグローバルな投資ファンドです。ファンド規模は約12兆円と言われています。CVCの提案に対して、東芝側は取締役会で検討を始めました。

まずは、なぜこのような非上場化を伴う買収の話が持ち上がってきたのかという背景からお話ししたいと思います。

なぜ買収話が持ち上がったのか?

東芝は2015年に債務超過に陥るなど、上場維持の危機に陥りました。

その時に増資を取り仕切ったのがゴールドマン・サックス(GS)で、6,000億円の第三者割当増資をGSの取引先であるファンド等に割り当てました。

(この時にGSは200億円相当の手数料を得たようです。一応、日系でも野村証券などは少しおこぼれに預かったようですが、当時は圧倒的な顧客基盤を持つGSだからできるディールと言われていました。)

割当先のファンドには多くのアクティビストファンド(株主として企業に能動的に行動を働きかけ、企業価値を上げることで投資収益を上げようとするファンド)が含まれていました。

今回、東芝に対して定時株主総会に議案の付議を行ったエフィッシモ・キャピタル・マネジメント(シンガポール籍のアクティビストファンド)もその1社です。

エフィッシモは、昨年(2020年)の東芝の定時株主総会で、3人の取締役の選任を株主として付議しましたが否決されています。また別のアクティビストファンドである3Dオポチュニティー・マスター・ファンドが提案した2人の取締役選任案も否決されました。

ただし、過半数に達しなかったものの、30~40%台の賛成を得ていますので、一定の存在感を示したと言えます。ちなみに参考までに、東芝側が出した取締役の選任案は70~90%台の賛成を得て可決されています。

また2021年に入ってエフィッシモが東芝の臨時株主総会の開催請求を東京地裁に申し立てて、3月18日に臨時株主総会が開催されました。

臨時株主総会では、エフィッシモが提出していた昨年7月に開催した定時総会の運営の適正性について、独立した調査を求める議案が可決されました(東芝側はずっと反対していた件です)。

これによって、エフィッシモ側が選任した3名の弁護士による調査が行われ、3カ月程度で調査結果は報告書にまとめられ公表される予定です。

このように東芝はアクティビストとの対立が激しくなっていたわけですが、そこに4月に入ってCVCキャピタルからの提案があったというわけです。

東芝の経営陣としては、株主対策に汲々としているなかで、バイアウトファンドから非上場化の提案があり、「渡りに船」という感じではないかと推察されます。

Next: 株主対応で疲弊する東芝に救いの手?CVCの提案にも2つの問題点

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー