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日本のコロナ長期化は決定的。終わりなきテレワークと完全成果主義で会社員の格差拡大へ=斎藤満

大阪、宮城、東京、神奈川などを中心にコロナ感染拡大の「第4波」がきています。ワクチン接種が遅れ長期戦となることが確実となった今、このままコロナとの共存が続くと日本はどうなるのでしょうか?私たちの働き方への変化について考えます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年4月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

集団免疫の獲得は早くて2021年以降

大阪では連日1,000人超えの感染者数を出し、いよいよコロナの感染「第4波」がやってきました。

コロナの感染対策として、短期収束を期待した「時間稼ぎ」型の対応は、今の日本ではそぐわないことが分かりました。

緊急事態宣言、まん延防止策下での時短要請や、雇用調整助成金、無担保無利子融資もこの時間稼ぎ型対応の一種ですが、これは潜水で1,500メートル泳げと言われるような無理なものです。半年、1年で終息が見える場合に使える「つなぎ対策」を、3年・5年と続けられるものではありません。

日本は短期集中対策を取りました。感染をいち早く収束させた台湾、オーストラリア、ニュージーランド゙、中国などとは明らかに異なり、集団抗体獲得を目指した対応です。集団抗体を得るためには、早い時期に国民の7割近くが感染して抗体を持つか、ワクチン接種を行う必要があります。しかし、いずれも大きく遅れを取っています。

3月30日に厚労省が発表した昨年12月時点での5都府県の抗体保有率は、東京で1.35%で、その他府県は1%以下でした。国民の自粛努力の成果もあり、感染が抑えられた結果が、逆に集団抗体獲得を遅らせている面があります。

このペースでは、来年になっても集団抗体獲得には程遠い状況が続くと思います。

ワクチン接種の遅れが致命的。日本はコロナとの共生が何年も続く

その分、ワクチン接種で抗体の獲得が進めばよいのですが、これも日本ではアフリカ諸国とともに、世界でも最も遅れているグループに属します。

すでにイスラエル、セーシェルなどでは100人当たり100回を優に超える接種が行われ、先月29日時点で、チリは50回、英国で49回、米国で42回となっています。

接種が進んでいる国がある反面、日本は4月1日時点でようやく100万回に達しましたが、100人当たり0.8回に止まっています。

このペースでは来年いっぱい見ても、国民の7割がワクチン接種を受ける状況は期待できません。その間に最初に接種したワクチンの効果が消えてしまえば、集団抗体は結果的に得られなくなります。

そうなると、日本はコロナとの共生が何年も続く前提の長期戦の覚悟が必要になります。

海外ワクチンの供給が不安定なら、国産の阪大・アンジェス・ワクチンや、塩野義のワクチン開発を支援し、供給を急ぐことです。

ワクチンが供給されても、接種する医療スタッフや場所、チェックシステムがワークしないと接種は進みません。これらも含めた自力でのワクチン体制を早急に固める必要があります。

このままでは、長期戦は避けられません。

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