「選手の命を守る」は建前。北朝鮮が五輪不参加を決めた真の事情

TOKYO, JAPAN, FEBRUARY. 4, 2020: North Korea National flag, official logo of summer olympic games in Tokyo 2020. White backgroundTOKYO, JAPAN, FEBRUARY. 4, 2020: North Korea National flag, official logo of summer olympic games in Tokyo 2020. White background
 

 先日、北朝鮮が東京五輪への不参加を決定したと明らかにしました。その理由として、新型コロナウイルスから選手を守るためとしていましたが、人権を蔑ろにしていると指摘される北の判断は真実なのでしょうか? 今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、北朝鮮の東京五輪不参加の「兆候」と、本当の理由について持論を展開しています。

北朝鮮が東京五輪不参加を決めた本当の理由

以前からその兆候はあった

2021年4月5日付の北朝鮮の「朝鮮体育」のホームページで、北朝鮮体育省が、3月下旬に開かれた北朝鮮五輪委員会の総会で7月に開幕が予定される東京五輪への不参加を決定したと明らかにした。不参加の理由について、「新型コロナウイルスによる世界的な保健上の危機的状況から選手を守る」ためと説明した。現在までに、東京五輪への不参加を表明した国は北朝鮮が初めてである。

北朝鮮が夏季五輪不参加をしたのは、1988年のソウル五輪以来である。北朝鮮が新型コロナウイルスへの感染拡大の懸念から、2020年1月末に国境を封鎖した。北朝鮮は、現在までも公式発表で、国内の感染確認例はないとしている。もちろん、このように世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない状況で、北朝鮮が参加を見送るのにも一理ある。

しかし、北朝鮮は、この新型コロナウイルスが流行する前から、東京五輪への不参加の意志を表す兆候を見せていた。それは、2019年12月25日付の韓国の聯合ニュースが、「サッカー女子の北朝鮮代表が2020年2月に韓国の済州島で開催される東京五輪アジア最終予選の出場を取りやめたと、アジア・サッカー連盟(AFC)に対し参加しない意向を伝え、その詳しい理由は明らかにされていない」と報道していた。

北朝鮮女子サッカーは強豪であり、メダル候補でもあるのにも関わらず棄権をする理由は尋常ではない。このときから北朝鮮が東京五輪への不参加の意志を表していたことがわかるだろう。当時この報道を受けて、私は男子サッカーや他の競技も理由を明らかにせず予選から棄権することもあると予想していた。

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