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緊急宣言で競争激化「食べログvsぐるなびvs出前館」圧倒的な勝者はどこ?注力分野で明暗、売上・加盟店舗数の差とは=シバタナオキ

食べログ、ぐるなび、出前館。この3社の中に、コロナ禍で圧倒的に業績を伸ばした勝者がいます。勝ったのはどこか、そしてその要因は何なのかを解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年4月22日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

(※筆者注:この記事はゆべしさんとの共同制作です。)

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

Q. 「食べログ vs ぐるなび vs 出前館」コロナ禍のレストラン向けサービスの勝者は誰?

ヒント:コロナ禍における3社のビジネスモデル・戦略の差がポイントです。

新型コロナウイルスにより、大きく影響を受けている業界の1つとして飲食業界があります。緊急事態宣言や外出自粛、営業時間短縮の要請などにより、多くの飲食店は売上減少が続き、中には廃業に追い込まれる飲食店も少なくありません。

そのような飲食店向けにサービスを展開している「食べログ、ぐるなび、出前館」の3社については、読者の皆さんもよくご存知でしょう。新型コロナウイルスにより飲食業界は大打撃を受けていますが、この3社には果たしてどれほどの影響があったのでしょうか。

今回の記事では、記事の前半で3社の売上や有料加盟店舗数を比較し、記事の後半では、3社のそれぞれの戦略や注力ポイントを比較して、このコロナ禍で勝者といえるサービスはどれか、読み解いていきます。

この3社の中に、圧倒的に業績を伸ばした勝者がいます。勝者はどの企業なのか、そしてその要因は何なのか、予想しながら読み進めてみてください。

「食べログ vs ぐるなび vs 出前館」売上・成長率の比較

まずは3社の売上を比較していきましょう。

※参考・画像出典:出前館 2021年8月期第2四半期決算説明会資料(2021年3月26日)
※参考・画像出典:価格コム 2021年3月期第3四半期決算説明資料 (2021年2月3日)
※参考・画像出典:ぐるなび 2021年3月期 第3四半期決算説明会資料(2021年2月4日)

<「食べログ」の売上>

まずは食べログの売上から見ていきます。

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食べログは株式会社カカクコムが運営するレストラン検索・予約サイトです。2021年3月期の第1四半期は新型コロナウイルスの影響により大きく売上が減少するも、第3四半期では73.7億円(YoY+4.6%)と、コロナ前の売上を超えています。

食べログの売上は、「飲食店販促」「ユーザー会員」「広告」「業務受託に係る収入」の4つのセグメントで構成されており、食べログの売上の約7割は飲食店販促が占めています。

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また、飲食店販促および、ユーザー会員、広告の各売上はいずれもYoYでマイナスとなっていますが、この四半期からGo to Eatキャンペーン等の受託である業務受託に係る収入が計上されていることにより、結果として売上は73.7億円でYoY+4.6%となっています。

<「ぐるなび」の売上>

次にぐるなびを見ていきます。

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ぐるなびの2021年3月期の第3四半の売上は62.2億円(YoY▲24.7%)、営業利益は▲13.1億円です。12月の賞与支給見送りの影響を加味すると、売上および営業利益は第1四半期から順調に回復しつつありますが、まだコロナ前まで回復しておらず、前年比で売上はマイナスとなっています。

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ぐるなびの売上は、「飲食店販促サービス」、「プロモーション」、「関連事業」の3つのセグメントで構成されています。更に飲食店販促サービスは、年間契約の加盟店収入であるストック型サービスの収益と、ネット予約が発生した際の手数料であるスポット型サービスの収益に分類されます。

これまでストック型サービスの収益がぐるなびの売上全体の7〜8割ほどを占めていましたが、この四半期ではスポット型サービスの収益と、Go to Eatキャンペーンによる追い風を受けたプロモーション収益が大きく成長しています。

しかしながら、収益の柱となっているストック型サービスの収益の回復が大きく遅れていることで、結果として売上は前年比マイナスとなりました。

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また、このストック型サービスの収益は、新型コロナウイルス感染再拡大の影響による飲食店の経営状況悪化に伴い、来期も減少を見込まざるを得ない状況です。

ストック型サービスがこれまで収益の柱であったため、ぐるなび全体でコロナ前の水準まで売上が回復するには、スポット型サービス収益やプロモーション、関連事業の成長が必要です。

<「出前館」の売上>

最後に出前館の売上を見ていきます。

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出前館の2021年8月期第2四半期の売上は62.4億円(YoY+210%)で着地しました。

出前館の売上は、①サービス利用料と、②配達代行手数料、③その他で構成されており、追って詳述しますが、サービス利用料は出前館を利用する加盟店の売上のうち10%、配達代行手数料は注文が入った際に出前館に配達を依頼する加盟店の売上のうち25%が、出前館の売上となります。

上図から、今回の大幅な増収を牽引したのは配達代行手数料です。配達代行手数料の売上はYoY+849%と、前年から約10倍の急成長となっています。

また、これまで出前館の売上はサービス利用料が中心でしたが、この四半期では配達代行手数料の売上がサービス利用料を超えていることがわかります。これは新型コロナウイルスの影響により、外出自粛となったことによるデリバリー需要の拡大で、配達代行を依頼する加盟店が増えてきたためでしょう。

Next: 加盟店舗数が一番多いのは? コロナ禍の勝者はどこだ

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