日本最古、関西の奥座敷「有馬温泉」で癒しの金泉&銀泉体験

Array
2020/08/22

兵庫の名湯「有馬温泉」の名を聞いたことがない人は、少ないと思います。“関西の奥座敷”と称されるこの温泉は、六甲の自然に囲まれた風光明媚な古湯でありながら、神戸の市街地からは電車で約30分、大阪からも約1時間かからないアクセスのよさ。

立ち位置としては、関東の箱根に近い存在といえますが、温泉地でありながら寺町でもあったりするところが関西らしく、関東人には新鮮に映るのではないでしょうか。

駅から温泉街へは有馬川沿いの道を歩いて行きます。image by:小林繭

『日本書記』にもその名が記され、道後温泉、白浜温泉と並ぶ日本三古湯のひとつに数えらます。清少納言の『枕草子』では「出湯は、ななくりの湯、有馬の湯、那須の湯、つかさの湯、ともに湯」と記されることから、平安時代にはすでに名湯の名を広くとどろかせる存在であったことがわかります。

かの豊臣秀吉も有馬をえらく気に入り、ねねと共にたびたび訪れたばかりか、湯殿まで作らせているのです。

有馬温泉の基礎を開いたと言われる名僧・行基上人像。image by:小林繭

今回は、そんな関西人にとってはお馴染みの、関東人にとってはぜひ一度は行きたい温泉地にあげられる有馬温泉について、その魅力をお話ししたいと思います。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

江戸時代の温泉番付第1位、堂々西の大関の異名に輝く“金泉”

温泉街を歩けば、あちこちにもうもうと湯けむりをあげる源泉を見つけます。image by:小林繭

有馬といえば、茶褐色の“金泉”と無色透明の“銀泉”。関西人にとっては何をいまさら!の話だと思いますが、このふたつの異なるタイプの湯がこんこんと湧き出るのが有馬温泉です。

「金の湯」の前で湧き出る金泉。image by:小林繭

有馬古来の湯といわれる “金泉”は、鉄分と塩分を多く含んだ含鉄強食塩泉。褐色に輝くその様子から“金の湯”と呼ばれていますが、湧き出し口では透明で、空気に触れることによって色が変わります。

全国にも塩分を含んだ茶色い温泉は多く見られますが、有馬のそれはなんともまろやかな色彩で、“金泉”の呼び名に相応しいもの。

保温効果が高く、各種アレルギー性皮膚疾患、慢性湿しん、傷ややけどなど皮膚のトラブルによく効く湯として知られています。さらに、カルシウムイオンが豊富なため肌をツルツルにしてくれる効果も!


炭酸泉源公園の「銀泉源」image by:photolibrary

一方、無色透明の“銀泉”は、炭酸泉とラジウムの混合泉。炭酸泉は毛細血管の拡張により血行をよくする効果が高く、高血圧や機能性心疾患の改善が期待できる湯といわれています。また、“銀泉”は飲用も可能なので、飲むことによって胃腸の働きを促進する効果も得られるそうなので、ゆっくり長湯で浸かることをおすすめします。

世界も注目!バラエティ豊かな温泉成分が自慢の有馬の湯

image by:photolibrary

温泉のうち特に医学的効果が期待できる泉質をもつものを「療養泉」と呼んでいますが、実は、有馬温泉にはこの療養泉に定義付けられる9つの成分のうち7つもの成分(単純性温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、放射能泉)が含まれているんです。

これだけの成分が混合した温泉は世界的にもめずらしいというそうで、海外からも注目を浴びる存在でもあります。

image by:(C)一般財団法人神戸観光局

一口に“金泉”“銀泉”といっても源泉によってその内容が異なるので、実際のところ有馬ではかなりいろいろな湯めぐりが可能。温泉好きにはわくわくがとまりませんが、初めて訪れる人は宿選びがなかなか悩ましいかもしれません。

というのも、金泉が有名な宿があるかと思えば、金泉と銀泉両方がそろった宿もあり、源泉かけ流しにこだわるか否かも含め、あれこれ思案必須です。

もちろん両方の湯がそろっているに越したことはありませんが、日帰りで訪れる人が多いため日帰り温泉施設が充実していること、また各宿も立ち寄り湯を受け付けているところが多いので、外湯も視野に入れるとすれば両方の湯がそろっていることにこだわる必要はありません。

有馬No.1といわれる「上大坊」の金泉。image by:小林繭

ちなみに金泉の名湯と地元の人々が口をそろえてすすめるのが、「上大坊」。なんとも濃厚なその湯は、見た目とは裏腹に優しい肌触りで、身体の芯からずっしりと温まります。ほかの宿に泊まっても、わざわざここの温泉に入りに来る人も多いとか。

また足利義満が宿泊したとも言われる老舗旅館「陶泉 御所坊」では、ちょっとめずらしい男女の風呂が隣接して仕切りが低くなっている半混浴風呂が楽しめます。

  • 上大坊
  • 兵庫県神戸市北区有馬町1175
  • 078-904-0531
  • 公式サイト
  • 陶泉 御所坊
  • 兵庫県神戸市北区有馬町958
  • 078-904-0551
  • 公式サイト

「銀の湯」外観 image by:小林繭
「銀の湯」の内湯。image by:(C)一般財団法人神戸観光局

日帰り施設としては、市営の「金の湯」と「銀の湯」のほか、金泉・銀泉両方をひく温泉テーマパーク「太閤の湯」があります。

こちらは温泉や岩盤浴、五右衛門風呂など、全部で26ものお風呂を楽しめる施設。入館料も大人ひとり2,400円(平日)、2,600円(土・日)とそこそこするので、半日から一日ゆっくり滞在してお風呂三昧ができる人におすすめです。

  • 金の湯
  • 兵庫県神戸市北区有馬町833
  • 078-904-0680
  • 最寄り駅
  • 大人(中学生以上)650円、小人(小学生)340円、幼児無料/2館券(金の湯・銀の湯)850円/2館券+史料館(太閤の湯殿館)1,000円
  • 定休日:第2・4火曜(祝日営業翌日休)、1月1日
  • 8:00~22:00(入館21:30まで)
  • 公式サイト
  • 備考
  • 銀の湯
  • 兵庫県神戸市北区有馬町1039-1
  • 078-904-0256
  • 大人(中学生以上)550円、小人(小学生)290円、幼児無料/2館券(金の湯・銀の湯)850円/2館券+史料館(太閤の湯殿館) 1,000円
  • 定休日:第1・3火曜(祝日営業翌日休)、 1月1日
  • 9:00~21:00(入館20:30まで)
  • 公式サイト
  • 太閤の湯
  • 神戸市北区有馬町池の尻292-2
  • 078-904-2291
  • 平日:大人 2,400円、小人(小学生) 1,126円、幼児(3〜5歳) 400円/土日祝:大人 2,600円、小人(小学生)1,300円、幼児(3〜5歳)500円/特別日:大人 2,700円、小人(小学生)1,300円、幼児(3〜5歳)500円(すべて税別)
  • 定休日:不定休
  • 10:00~23:00(最終受付22:00)※2020年8月現在、営業時間短縮を行っています。詳細は公式サイトをご確認ください。
  • 公式サイト

いま読まれてます
エアトリインターナショナル コスパが高いLCC「ジェットスター」直行便でラクラク!ケアンズで大自然の癒やしを満喫しませんか?
日本最古、関西の奥座敷「有馬温泉」で癒しの金泉&銀泉体験
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます