お金じゃない。顧客の支持を稼ぎだす「信用代理店」に無限の可能性

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CSR(企業の社会的責任)関連の部署がない大企業は珍しくなりましたが、中小企業や小規模店舗の場合は、予算も人材も回らないというのが実状ではないでしょうか。しかし、コロナ禍で世の中のムードも変わり、利益を追求するだけでCSRや地域貢献などの取り組みがなければ支持を得にくくなっています。メルマガ『j-fashion journal』著者で、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、人材や知見不足の会社に代わり、企業の信用力を高める「信用代理店」という仕事ができないか考察。定年後に社会や地域に貢献したい人を集めての活動をイメージしています。

信用代理店

1.企業の信用力を高める「信用代理店」

重要なのはお金ではなく信用だ。お金なんてただの紙切れでみんなが信用しているから機能しているだけ。それなら、お金を稼ぐビジネスではなく、信用を稼ぐビジネスがあってもいいではないか。でも、現代社会の信用とは、お金を稼げることであり、お金を持っていることである。お金を稼げることとは、食料、エネルギーを調達し、生活する家を確保し、生活に必要な物資を調達できることを意味する。

さて、お金ではなく、信用を稼ぎだす行動とは何だろう。例えば、しっかりお金を稼いでいるメーカーがあるとする。会社としては、立派な存在だ。しかし、地域の住民にとって、何をやっている会社か分からない。したがって、地域の信用はない。その会社がメーカーだけでなく、小売店を始めたとする。こうなると、地域社会との付き合いが必要になるし、お金儲け以外の活動もしなければならない。簡単にいえば、広報活動が必要になるのだ。

広告代理店は、企業に代わって、媒体を押え、予算通りの広告活動を行う会社である。それと同様に、金儲け以外の企業活動を一括して請け負う代理店が必要になるのではないか。ビジネスの発想と社会貢献の発想は根本的に異なる。利益を得るための仕事だけでは、企業の価値は高まらない。そんな業務を行う「信用代理店」があってもいいのではないか。(あくまで個人的な妄想であるが)

2.情報発信、地域コミュニケーション

さて、信用代理店の主な業務はどんなものだろう。お金を稼ぐこと以外で、企業のやるべきことを全て業務委託すると想定してみよう。まず、情報発信だ。部品メーカーであれば、その部品がどれだけ世の中の役に立っているかを訴求する。これは注文を取るためとか、ビジネスのための情報発信ではない。企業そのものの社会的意義を訴求するのである。

次に、地域とのコミュニケーションを高める活動を行う。たとえば、メーカーならば、子供の教材になるようなもの、おもちゃになるものを自社の技術で制作する。それを地域の学校や養護施設、幼稚園などに無償で配布する。もし可能ならば、社員か社員の家族から希望者を募って、ボランティアとして参加してもらう。また、地域のイベントには積極的に参加する。但し、お祭りの寄付を出すようなことではなく、喜ばれる活動を行う。

もし、社員食堂があるなら、料理自慢の社員や家族に集まってもらって、スープや料理をふるまう。売上は地元の施設等に寄付する。こうした社会貢献活動に対して、企業に予算を用意してもらう。予算が少ないならば、社会貢献をしながら、収益を上げることを考える。例えば、地元のボランティアを募り、社会貢献活動を企業がプロデュースする。会社の使っていない土地や建物等があるならば、市民に開放するのも良いだろう。

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