FacebookがAppleを猛批判。新しいiOSはネット広告をどう破壊するか?

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アップルが最新のiOSでプライバシー機能を強化したことで、個人の閲覧履歴や位置情報などを利用した広告に大きな影響が出ると、フェイスブックなどのプラットフォーマーが反発しています。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、「ターゲティング広告」の問題がどう報道されてきたか、朝日新聞の過去記事を確認。アップルだけでなく、国家も規制強化に動き始めていて、巨大IT企業も広告手法で岐路に立たされている状況を浮かび上がらせています。

「ターゲティング広告」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《朝日》から。3面にアップルの新しいiPhone用ソフトが「ターゲティング広告」のあり方を変えるきっかけになるかもしれないという記事。「ターゲティング広告」が重要なキーワードなので、検索を掛けると、サイト内(5年以内)に73件、1年以内の紙面掲載記事のなかで20件ヒットしました。この20件を見ていきたいと思います。まずは3面記事の見出しと【セブンNEWS】第7項目の再掲から。

アプリ利用者の追跡に本人許諾
ネット広告に影響か
米アップルOS最新版

米アップルは、提供を始めたiPhone向けの基本ソフト最新版で、アプリによる利用者の追跡について本人の許諾を求める仕組みを導入。ターゲティング広告に大きな影響があり、フェイスブックは猛反発。「多くのアプリ開発者を傷付けるだろう」と批判。

以下、記事概要の補足。アップルのティム・クックCEOは「我々は消費者のために立ち上がった」と胸を張った。iPhoneの最新版基本ソフトに導入した「アプリ追跡の透明化(ATT)」という仕組みは、利用者がアプリを開こうとすると、「このアプリが他社のアプリやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティーを追跡することを許可しますか」と問いかけてくるもの。利用者は、「追跡しないように要求」するか「許可」するか、選ぶことができる。

この仕組みがもたらす影響は大きく、「追跡しないよう要求」を選ばれると、アプリや広告会社は、各端末に割り振られた「広告主向け識別子(IDFA)」を取得できないことになる。広告会社や仲介会社は、個々のネット閲覧履歴に基づいて「ターゲティング広告」を出すので、それができないことになる。

●uttiiの眼

記事は最後の方で、米調査会社が利用者の反応を調べたところ、追跡に同意したのは約3割だったという。これは衝撃的な数字。おそらくは危機感を持ったグーグルやフェイスブックは、他のやり方でターゲティング広告の効果を確保する取り組みを始めているそうだが、これは彼らの収入の基本構造を脅かすものなので、必死なのだろう。

考えてみれば、今までは事実上何の断りもなく、“追跡”されていたわけで、ティム・クックが胸を張るのは当然かもしれない。基本的にハードウェアを売る商売であるアップルが、この面ではグーグルなどの広告商売を裏切って、一人「消費者の味方」顔を作っているといった構図かもしれない。

アップルが本気かどうかは置くとしても、閲覧履歴という非常にセンシティブな個人情報を守る方向にハードとソフトが動いているのは悪いことではない。

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