戸建て人気が急上昇。コロナ禍がゴーストタウン化を止めるという皮肉

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ほんの数年前まで、不動産ならぬ「負動産」などと揶揄されていた郊外の戸建て住宅ですが、新型コロナの流行でその風向きが大きく変わりつつあるようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、コロナ禍による在宅勤務・リモートワークの定着が変化させた住宅選びの基準を紹介。さらに、「この流れは当分続く」との見解を記しています。

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専業主婦に替わる在宅勤務で郊外戸建て住宅に光が…

こんにちは!廣田信子です。

2017年5月25日に書いた記事です。

ゴーストタウン化する大都市郊外。かつて憧れの高級住宅街の末路

自分も書いたことを忘れていましたが、最近、検索でこの記事を読む方が複数いたようで、急に、「いいね」された記事に上がってきて、思い出しました。ちょうど、4年前の記事です。

郊外の高級住宅地の戸建て住宅が、最近不人気で、かなり価格が下がってしまっている。駅から離れていても専業主婦の妻が、夫や子供たちを車で駅へ送り迎えしてすることで成り立っていたが、いくら環境がいい広い家でも、夫婦共働きが当たり前になったことで、子供たち世代には通勤に不便過ぎてそっぽを向かれている…という趣旨の記事です。

いやいや、時代は変わりました。つい最近、郊外型のかなり広いマンションに買い替えた東京都心部に在住の知人は…今度のマンションは駅からはバスになるけど、私はほぼ在宅勤務、夫も週2日は在宅勤務。夫の通勤日、天気がよければ、自転車で駅まで行けばかえって運動になるし、雨の日は、私が仕事前に車で駅まで送ればいいから、何の不自由もないわ。と言っていたのです!

共働き夫婦のうち、一方が在宅勤務になれば、郊外で駅から距離がある住宅でも、専業主婦がいるのと同じなのです。4年前には想像しなかったことです。

この変化を反映するように、2020年度の首都圏の不動産流通で、中古戸建て住宅の成約件数が、過去最高になりました。これは、4月21日に、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が、2020年度(20年4月~21年3月)の首都圏不動産流通市場動向を発表したものです。中古戸建て住宅の成約件数は9.0%増の1万4,102件と、過去最高を更新しました。ちなみに、中古マンションの成約件数は2.3%減の3万7,049件でした。

40年前、平均的な専業主婦が支える家庭の理想は、郊外の一戸建てに暮らすことでした。ところが、時代が変わり、就労人口が減少し、女性の社会での活躍が当たり前になって、通勤に不便な郊外の戸建て住宅が衰退してしまいました。

それが、昨年からのコロナ禍で、在宅勤務、リモートワークが定着したことで、また、環境がいい広い住宅が見直されているのです。若い家族が暮らすことで、郊外の戸建て団地が活性化することが期待されます。

ちなみに、車ですぐのところに大型のショッピングセンターがあり、有名な私立の中・高一貫校に近いところが、人気だそうです。この流れは当分続くと思います。

前述の知人は、もし、在宅勤務じゃない部署に異動になったら…と聞くと、そうなったら、在宅勤務ができる会社に転職するわ…とこともなげにいいましたから…。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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