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サムスン帝国崩壊の始まり。会長遺産の大半は獄中の長男に、稼ぎ頭2分野の苦境を同族経営で乗り切れるか?

2020年10月に亡くなったサムスン会長・李健熙(イ・ゴンヒ)の2兆5,000億円の遺産分割が終了し、1兆1,700億円の相続税の支払いが4月28日に決定した。相続分割の内容を見ると、長男で同社副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)を中心とした創業家グループによる支配を維持するもようだ。しかしサムスンは、中核となる半導体・スマホ部門ともに苦戦を強いられている。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年5月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

サムスン電子の李副会長、個人でサムスン生命の最大株主に

今回はサムスン電子について、2つのテーマで特集したい。1つは亡くなった会長の遺産相続について。もう1つはサムスン電子の現状である。

結論から述べれば、遺産相続はうまくいって、サムスン一族の支配体制が強化された。李副会長はサムスン生命の個人における最大株主となった。

では、細かい内容を見ていこう。

李副会長はサムスン生命の株10.44%を保有。12兆ウォン(約1兆1,700億円)以上の相続税は遺族同士で分担となった。2020年10月に死去したサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が残した遺産は、保有する株式だけで約19兆ウォン(約1兆8,600億円)相当もある。これを4人の遺族で分けることになった。

受け取る4人は次の通り。妻の洪羅喜(ホン・ラヒ)氏、長男の李副会長、長女の李富真(イ・プジン)氏、次女の李叙顕(イ・ソヒョン)氏だ。

本来は遺言がなければ法定相続通りに分けるのが通例だが、どうやらサムスン生命の株だけは、遺族同士が話し合ったうえで決められたようだ。

まず、妻の洪羅喜氏は相続しない。代わりに長男の李副会長が半分の2,075万9,591株。富真氏が6分の2となる1,383万9,726株、叙顕氏は6分の1の691万9,863株をそれぞれ相続することになった。

法定相続通りなら、妻の洪羅喜氏は9分の3をもらう権利があるのだが、それをしなかった。これはなぜか。長男の李副会長にまとめて渡しておけば、サムスン生命の支配構造が強化されるということだ。

サムスングループは創業家一族による支配を維持

それで、李副会長はサムスン生命の株10.44%を保有することになり、富真氏は6.92%、叙顕氏は3.46%となった。3人で約21%もっていることになる。これだけあれば敵対的な買収などを防ぐには十分だろう。

サムスングループは外資系の企業に支配されているという噂も出回っているが、実際はそんなに簡単に買収されるような危うい構造にはなっていない。

12兆ウォン(約1兆1,700億円)以上の相続税は、遺族同士で分担するようだ。4人で分担すると、1人3,000億円ぐらいか。韓国政府は喜んでいるだろう。

しかし、これだけ相続税を払っても、李副会長は収監されたままである。前大統領の知人への贈賄罪に問われた裁判で、懲役2年6か月の実刑判決が出ているためだ。恩赦は認められなかった。ただ、揉めると思っていた遺産相続がわりと円満解決したので、世間は拍子抜けした形だ。

ここからは、サムスン電子の現状を見ていこう。

Next: 稼ぎ頭の2部門が不調。半導体はもう台湾TSMCに追いつけない

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