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イーロン・マスク氏、ビットコイン辞めるってよ。「暗号通貨マイニングは地球環境に悪い」なぜ今、今さらそれを言い出す?=高梨彰

テスラのイーロン・マスク氏がビットコインの決済利用停止を表明、暗号資産は軒並み急落しています。問題は、暗号資産の時価総額が増えたため、金融市場全体に与える影響も少なからずあるところです。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

【関連】「ビットコイン投資は競馬と同じ」人工知能に相談したら返ってきた3つの警告=矢口新

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2021年5月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

教科書通り。インフレ懸念からボラティリティ上昇

4月分の米CPI(Consumer Price Index)が前年同月比+4.2%(市場予想+3.6%)、前月比+0.8%と高い伸びになったことを受けてインフレ懸念が市場を支配、株安・債券安(金利上昇)です。

細かいことは無料メルマガ『徒然なる古今東西』を参照していただくとして、インフレ懸念から変動率(ボラティリティ)上昇という教科書的な値動きが発生しています。

一段の株安と債券安は直近安値を抜けることを意味します。目先はポジション繰り、評価損により信用取引などに必要な証拠金が不足することで発生する「マージンコール(追証)」回避の投げ売りが市場の敵です。

イーロン・マスク氏の発言で暗号資産はそろって急落

さて、電気自動車テスラのイーロン・マスクCEOが自動車購入時のビットコイン受け入れを休止すると発言しています。ビットコインをはじめ暗号資産(仮想通貨)価格は揃って急落です。

マスク氏曰く「ビットコインのマイニング(発掘)作業により、化石燃料(石油・天然ガスなど)の消費が増え、環境に悪影響を与える」と。素直に従えば、「マイニング作業によりPCの使用が増え、これがコンピューター生産増や電力消費量増加を促す。電気が必要となれば、発電も必要。火力発電も増える。ついでにコンピューター消費は気候温暖化にも繋がるし…」といったところでしょうか。

理由は何でも良いですけど、マスク氏の一言で暗号資産相場が左右されています。

テスラは2月に15億ドル相当のビットコインを購入していまして、大口投資家でもあります。金融当局が動けるのか不確かですが、こんな相場操縦が許されるあたり、暗号資産は本当に「資産」として扱ってよいのか疑問です。

ビットコインは資産と言えるのか?

おカネが持つ3つ機能といえば、交換・尺度・保存。

マスク氏の発言により交換機能が停止され、尺度も古くなったプラスチックの物差しのようにズレ、保存するにも安全性に疑問がまします。

不確定要素が多いからこそ投機性やゲームとしての妙味も高まるのですけど、民間の人が一言発しただけで想いのまま動くものを通貨として扱うことは憚られます。

暗号資産は鑑賞する術もなく、ただただ価格上昇にカタルシスを得るのみです。そんなところに陶酔感を求めるならば、競馬など他のギャンブルに傾倒したくなります。

Next: 株や為替にも影響大。無視できないビットコインの値動き

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