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ワクチン特許権放棄では“接種遅れ”は解決しない。製薬会社を「儲けすぎ」と批判する前に日米政府がやるべきこと=房広治

発展途上国でワクチン接種が遅れていることを受けて、製薬会社への特許権放棄・一時制限の議論が進んでいる。しかし、アストラゼネカのワクチン治験に参加した私は、製薬会社や大学がコロナ発生を予測して研究開発を続けてきたからこそ早期のワクチン供給が実現したわけで、「儲けすぎ」とか「特許を一時停止すべき」という考えはおかしいのではないかと思う。そこで、ワクチン特許権の一時停止よりも、もっとよい提案がないかを考えた。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)

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※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2021年5月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

コロナワクチン「メッセンジャーRNA」はブルーオーシャン

当メルマガでは前回、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは材料数が218にも渡り、サプライチェーンマネジメントとの面からしてもコストがかかることにフォーカスした。

しかし、オックスフォード大学の教授たちも私も、mRNAはブルーオーシャンだと思っている。

英語の以下のビデオをご覧頂きたい。

1995年段階では、mRNAの発明者たちは、まったく世の中から相手にされず、冷や飯を食わされていたということを題材にしたドキュメンタリーだ。エジソンやアインシュタインのように、本人が研究をしている間に有名になる人は、科学の世界でも珍しいのだろう。

mRNAは、理論的には正しいことが2020年になって、世界の大多数が信じることになった。しかし昨年までは、99.9%の人は、聴いたこともなかった。また、mRNAの発明者である科学者たちは、邪魔者扱いされつづけたのだ。

どのへんを私が「すごい!」と思っているかというと、ワクチン製造で、これまで自然の力を利用していた部分のかなりの部分を、人間がコントロールするにはどうすればよいかという発想で設計されていることだ。

最初のワクチンは、ウイルスを殺したり、人体に影響のないぐらいに弱くして使っていた。しかし、このやり方では、ウイルス自身の表面の形を変えてしまうため、人体の免疫システムが本当のウイルスが来た時に、認識できない確率がかなりあった。元々ワクチンが有効かどうかという議論についても、いろいろな尺度があるのだが、1回のワクチン接種で、100%ウイルスに対して感染しないようになることはないというのをまずは、頭の中に入れておく必要がある。

この後に開発されてきたのが、ベクターベースとタンパク質ベースとmRNAという違った設計の方法である。

私も理論的に人に説明できるぐらいまで理解しているわけではないのだが、どのmRNAがウイルスに有効かを調べる開発プロセスに、かなり融通性が利くような感じがしている。すなわち、変異株に対して、どの組み合わせのmRNAが良く効くのかを比較的早く対応できるのではないかという期待をしている。

感染症だけでなく、ガンへの免疫力アップも期待できる?

そして、なんといっても、感染症以外にもガンに対しての免疫力をアップさせるワクチンが開発されることがあるのではないかという科学者への希望があることが魅力である。

そんなことを言っても、まだ99.9%以上の人々には信じてもらえないと思う。が、冒頭に紹介したビデオは、ガンに対しての予防の可能性をうまく表現している。

驚くなかれ、このようなワクチンが予防医学の最先端だということを私が教わったのは2014年。ビル・ゲイツが2015年4月のTED Talkでパンデミックとワクチンの話をする1年前である。教えてくださったのは、Oxford大学で再生医療を研究しているホランダー教授であった。

mRNAは、昨年がビジネスの元年。今後20年間は、ブルーオーシャンマーケットとして、先行グループが多大なる利益を得ることになるだろう。

Next: ワクチン特許権放棄の議論はどう決着する?

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