尖閣接近の中国海警「4隻のうち武装しているのは1隻だけ」の意図

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我が国固有の領土である尖閣諸島の周辺海域において活発な活動を繰り返し、2月には海警局船舶に武器の使用を認める「海警法」を施行するに至った中国。しかしこれまで、彼らの装備について正確に伝えられることはありませんでした。そんな流れの変化を指摘するのは、軍事アナリストの小川和久さん。小川さんは自身が主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で今回、世界の軍や保安組織が相手の勢力を誇張報告し予算や発言権増大を狙う傾向が強い中、中国海警の船の編成と装備を正確に報告した海上保安庁の姿勢を評価しています。

『海上保安レポート』に注目!

5月12日の読売新聞の記事は、同じように中国の脅威を強調するにしても、これまでとは違った書き方になっており、少し進化したという印象を持ちました。

中国海警の大型船、8年間で3倍以上に…海保「危機が増大」

中国海警局に所属する大型船が過去8年間で3倍以上に増えたことが、海上保安庁の調査でわかった。海保は海警船の大型化、武装化が進んでいるなどとして、「危機は増大している」と警戒を強めている。

 

海保が中国の公開情報を基に推定した。大型船とされる満載排水量1,000トン以上の海警船は2012年は40隻、14年は82隻、20年は131隻と増え続けている。15年12月には機関砲搭載の海警船も初確認した。(中略)

ここまでは従来通りの書き方ですが、それに続く部分にご注目ください。

尖閣諸島周辺の接続水域内での確認日数は昨年、333日で過去最多となり、現在は機関砲搭載の1隻を含む4隻がほぼ毎日航行する。(中略)

これまでのマスコミ報道のパターンだと、「砲のようなものを搭載」とか、「重武装化が進む」と、具体的な内容を書かずに、印象操作をする傾向にありましたが、それが改まったのです。

私は一貫して中国海警の船の編成と装備に注目し、4隻編成になってからは「4隻のうち武装をしているのは1隻だけ」と指摘してきました。その現実を直視しなければ中国側の意図などを読むことはできないからです。私と同じ指摘をしたのは、海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二さんだけです。中国海警の動向を監視している海上自衛隊も、そのように見ているということです。これがプロの見方です。コロナでも「正しく恐れよう」という言葉が使われますが、虚像に振り回されていては、日本はいつも押っ取り刀の状態で、適正な防衛力整備などできないことを忘れてはなりません。

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