CO2削減へ国際規制 大型船燃費、日本主導で―23年から

2021.05.18
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by 時事通信

 世界の海運業で排出される二酸化炭素(CO2)の削減に向け、大型外航船の燃費規制が日本主導で創設されることが17日、分かった。重油などの燃料の使用実績に応じて毎年船を格付けし、評価が低い船にペナルティーを科す。6月に開かれる国際海事機関(IMO)の会議で関連条約の改正案が採択され、2023年に導入される見通しだ。
 船の建造量は日本、中国、韓国でシェアの9割超を占めるが、日本は中国、韓国に次ぎ3番手にとどまっている。規制の創設により世界的な船の買い替え需要の増加が見込まれ、燃費性能の優れた日本製にとってより有利に働くとみられる。
 規制は、石油タンカーやコンテナ船、クルーズ船を所有する海運会社などが対象。毎年1回、運航距離と船の重さに対する使用燃料量を船ごとに算出し、船籍のある政府に提出するよう義務付ける。各政府はIMOの基準に照らしてA~Eの5段階で格付けし、最も評価が低い「E」や3年連続で「D」だった船について改善に向けた計画書を提出させる。改善されなければ運航を禁止する。
 格付け制度とは別に、燃費性能が悪い旧式の大型外航船に対する規制も新設する。船の燃費基準が13年に設けられたが、これより前に建造された船は基準を満たす必要がなく、「野放し状態」(国土交通省)となっている。23年以降は、旧式であっても、エンジンの付け替えなどの改造や減速運航を行い、基準を満たした船と同程度の燃費性能を確保するよう求める。
 国際海運業のCO2排出量は世界全体の約2%を占める。IMOは50年までに08年比で50%削減し、2100年までにゼロを目指している。(2021/05/18-07:04)

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