菅政権のブレーン・竹中平蔵氏が推進する「自由競争」が日本を破壊する。自由な競争が生み出すのは、圧倒的な強者が弱者を踏みつぶす残酷ショーである。銀行や農業や医療や水道や電気と言ったインフラを外国企業に独占されると、「それが資本主義だ」と鷹揚に構えていられなくなっていく。外国企業が国民の生命に関わるインフラ部分を掌握し、値段を吊り上げることによって国民の生活を危機に陥れることが可能になるからだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
何でもかんでも自由にするのは正しいのだろうか?
今、菅政権は「成長戦略会議」で竹中平蔵氏を経済のブレーンとして重用している。
この竹中平蔵は2000年代の小泉政権でグローバル化を前提とした経済政策、規制緩和による競争促進、労働者保護廃止などの経済政策を次々と行っていた。
グローバル化を意識して、「企業には自由に競争させよ」と言って、自由競争を阻むあらゆる障壁を撤廃し、郵政も民営化して競争にさらした。あらゆる組織体を競争原理にさらしていったのである。
こうした手法は新自由主義と呼ばれた。「資本主義なんだから、企業の自由に競争させればいいではないか」というわけだ。
「自由」という言葉は、とても美しい言葉だ。「不自由であるのがいいのか、自由であるのがいいのか?」と問われて「不自由の方がいい」と答える人は、ほとんどいない。誰もが自由を愛する。
しかし、何でもかんでも自由にするのは正しいのだろうか。
多くの国では、実は自国の産業を守るためにいくつかの保護政策を取っている。守りたい産業を保護するために外国製品には高い関税をかける。
あるいは守りたい産業を国営化して、その重要な産業がつぶれないようにしている。インフラや農業は、多くの国で保護対象になる。
なぜか。ここが潰れれば、一気に国民生活に影響が出るからだ。
根幹部分を持っていかれると、場合によっては国が回らなくなってしまうのだ。
圧倒的な競争力でその分野を乗っ取ることが可能になる
実は、この政府が保護する分野というのは、そこが乗っ取られたら国民生活が急激に困窮していく部分なのである。
たとえば、電気・ガス・水道を考えてほしい。この部分を外国企業に乗っ取られて、外国企業が儲かるためにどんどん値段を釣り上げたらどうなるのか。電気・ガス・水道が2倍、3倍になっていったら生活できなくなる層もいるはずだ。
だから政府はこの部分を保護して、国民が困窮しないようにしている。
そうであれば、外国企業がある国を乗っ取るには、この部分を掌握すればいいということになる。
まず政治家を買収して、保護貿易を止めさせる法律を策定させて、重要なインフラをすべて民営化して、それを乗っ取ればいいのだ。