他殺、自殺が起きた「事故物件」を売りに出すとき告知義務はどこまで?

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いわゆる「事故物件」と言われる心理的瑕疵物件について、今まで明確な取り扱いが決められていませんでした。しかし、今年5月、国土交通省で検討されていたガイドライン案が発表されることになりました。その詳細はどのようなものなのでしょうか? 今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、著者の廣田信子さんがその内容を詳しく紹介しています。

心理的瑕疵の範囲、孤独死も共用部分での事故死も含まれる

こんにちは!廣田信子です。

国土交通省は5月20日、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)に関するパブリックコメント(意見公募)を開始しました(至6月18日)。

国土交通省で、「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を設置し、過去に人の死が生じた不動産において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者が取るべき対応などについてガイドライン案をとりまとめたものです。

ガイドライン案では、

  1. 適用範囲となる事案・不動産の範囲
  2. 宅建業者が告げるべき事案
  3. 実施すべき調査やその方法
  4. 告知すべき内容や範囲 

が示されています。

<1.対象となる事案及び不動産の範囲>

対象とする事案は、「不動産において生じた人の死に関する事案」に限定し、対象とする不動産の範囲は居住用不動産としています。

隣接住戸や前面道路等、対象不動産以外で生じた事案は対象外となりますが、集合住宅については、専有部分に加え、買主・借主が日常生活において使用する場所(共用部分等)も含むとされています。

<2.宅建業者が告げるべき事案>

買主、貸主に告知しなければならない事案は、他殺、自殺、事故死、その他原因が明らかでない死亡(事故死か自然死か明らかでない場合等)です。

一方で、自然死(老衰、持病による病死等)や日常生活の中での不慮の死(階段からの転落、入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥等)は原則として告知する必要はないとされています。

ただし、死亡後長期間に亘って放置され、室内外に臭気や害虫等が発生し、特殊清掃等が行われた場合は原則として告げる必要があります。

<3.実施すべき調査やその方法>

媒介を行う宅建業者は売主、貸主に対して告知書等の書面に過去に生じた事案について記載を求めることにより情報収集としての調査義務を果たしたものとするようです。

この際、記載されていない過去の事案が後日判明したとしても宅建業者に重大な過失がない限り、調査は適正になされたものとみなされます。

<4.告知すべき内容や範囲> 

・賃貸契約の場合
告げるべき内容:事案の発生時期、場所及び死因(不明である場合はその旨)
告げるべき範囲:事案の発生から概ね3年間

ただし、死亡後長期間に亘って放置された事案については、発見時期、臭気・害虫等が発生した旨について事案の発生から3年間は告げる必要があるとしています。

・売買契約について

告げるべき内容:事案の発生時期、場所及び死因(不明である場合はその旨)(賃貸契約と同じ)
告げるべき範囲:期間の明記なし

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