4月27日にネットショップで予約販売を開始するや、その日のうちに3,000枚の初回分が完売したユニ・チャームの「顔がみえマスク」。1枚1,480円と決して安価ではないこの新商品は、なぜここまでの人気となったのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、このマスクの開発背景を紹介するとともに、「ありそうでなかった商品」のヒットの理由を分析しています。
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なぜ、ユニ・チャームはマスクの新製品を出すのか?
ユニ・チャームが、口のところが大きく透明になっていて、口元や顔の表情が見えるマスク、「ユニ・チャーム 顔がみえマスク」を発売しました。
このマスクは、一般的なマウスシールドのように、透明なプラスチックが口元にあり、これをつけると、顔のほぼ全体が見える、というものです。
どうしてもマスクをつけて話をすると、相手の話が、うまく聞き取れなかったり、表情が見えなかったりします。
営業で商談をしに行くような時には、マスクで得意先の表情が見えないので、年度末でどうしても入れて欲しいといった、微妙な商談の時に、お客様が、どんな表情をしているのか、嬉しそうなのか、渋い顔なのかが見えないので、なかなか捗らない、といった悩みがあることも事実です。
私も講演や商談など人前で話をすることが多いため、フェイスシールドをする方が、話もしやすいと感じていました。
一方で、フェイスシールドでは、マスクと比べると、話をする時の飛沫が飛ぶのが多いと聞いて、ここ最近は、フェイスシールドを使っていません。
しかし、ユニチャームのサイトによると、この「顔がみえマスク」は、従来のフェイスシールドと比較して、飛沫を抑えることができるそうなので、この「顔がみえマスク」があると、仕事などでも使える機会が増えそうです。
この商品の開発背景には、口元や表情によってコミュニケーションをとることが多い、聴覚障がいがある方や言語障がいがある方にとって、切実な問題となっていたことがあるそうです。
ユニチャームのサイトによると、「このような問題を解決するために、口元が見えやすいマスクを手作りして相手の方へ配ったり、マウスシールド等を付けてもらったりと、苦労していること」が判ったそうです。
一方で、そういった手作りしたマスクや、口を動かしやすいよう設計された隙間の多いマウスシールドは、先程の話で、飛沫をおさえることへの不安があったため、この商品の開発にいたったということです。
考えてみれば、一部が透明なマスク、というのはありそうでなかった商品です。
フェイスシールドのように、全部をプラスチックで作ろうとすると、どうしても口元や鼻のあたりの凹凸にフィットしないので、ピッタリと止めることができませんし、かといって、スキーのゴーグルのようなゴツいものだと、つけていること自体が苦痛になってしまいます。
ユニチャームはこの辺りをかなり工夫して、布部分が顔に柔らかく当たるようにし、さらにそれによって、鼻や口元にフィットさせて隙間を作らない仕上げにしたりしています。
このあたりは、今までユニチャームが作ってきた、「超立体マスク」とか、「超快適マスク」に使ってきた技術を、この新製品にフルに使用することで、口元や表情がみえるようにしつつも、顔の全方位にフィットする構造で、より隙間が少なく、飛沫が外に漏れにくい構造としているのです。
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