世界的エンジニアが明かす、自分を“ゾーン”に入れて超人的仕事をこなす方法

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好成績を上げたアスリートのインタビューなどでよく聞かれる「ゾーンに入る」という言葉ですが、そのような状態に没入することは、ソフトウェア・エンジニアの世界でも重要なようです。とはいえその「ゾーン」はスポーツにおけるそれとは少々異なるとするのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の世界的エンジニア・中島聡さん。中島さんはメルマガ『週刊 Life is beautiful』で今回、自身の経験を記す形で「ゾーンに入ったソフトウェア・エンジニアの姿」を紹介しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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ゾーンの話

ソフトウェア・エンジニアとして働いていると、しばしば「ゾーンに入ることが大切」という話が話題になります。集中力が上がって、生産効率が上がる現象を指しますが、スポーツにおけるゾーンとは少し違うし、単に「集中できる環境を作れば良い」という話ではないので、今日はその話をします。

スポーツにおける「ゾーン」とは、体が「何もかも上手に出来てしまう状況」に入ることです。私もゴルフをしていて何度か経験がありますが、入ろうと思えば入れるものではなく、逆に一度ゾーンに入ってしまった後は、余計なことを考えずに、体に任せてしまった方が長くゾーンにとどまっていることが出来ます。

プロゴルファーは、1日何時間も球を打ちますが、それは正しいスイングを体に覚えさせるためで、いざ本番になると、スイングやグリップのことなど考えずに、体に覚えたままのスイングをさせた方が良いのです。つまり、日々の練習で、体が「正しいスイング」を覚えているからこそ、ゾーンに入ることが出来、一度ゾーンに入ったら、余計なことは考えない方が良いのです。

プロゴルフツアーのトーナメントで優勝できる人とそうでない人の差は、ゾーンをどこまでコントロールできるかにかかっています。せっかくゾーンに入って良いスコアが出ていたのに、勝ちを意識するあまり、ゾーンを壊してしまい崩れてしまうゴルファーがたくさんいます。

プログラミングにおけるゾーンにも、スポーツのゾーンと似ている部分はありますが、一つの大きな違いは、「仕事をしているのは体ではなく頭脳である」という部分です。そのため、スポーツのゾーンのように「余計なことを考えてしまったために、壊れてしまう」ほど脆いものではありません。

とは言え、集中して仕事をしている時に話しかけられたりすると、そこで集中力が途切れてしまうことがあり、これを「せっかくのゾーンから引き剥がされる」と感じる時があるのは事実です。FacebookやTwitterで他の人とコミュニケーションを取りながら仕事をしても、なかなか集中して仕事が出来ないのも同じ理由です。

多くの人は、この「他のことを何も考えずに集中して働く時間」のことをゾーンと呼びます。そんな時間をしっかりと取ることは、確かにとても大切ですが、もっと大切なことは、(プロジェクトの必要性に応じて)数週間に渡って、自分をゾーンに入れることです。

なぜ、そんなことが可能かというと、プログラミングとは問題解決の連続であり、問題を解決出来るのは、コンピュータの前に座っている時間だけではないからです。

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