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「黙れ、ばばあ!」に続く舌禍。平井デジタル相“下請け脅し”音声流出で指摘される「人望の無さ」

平井卓也デジタル改革相が、国が開発したアプリの事業費削減を巡って、請負先の企業を「脅しておいた方がよい」「徹底的に干す」などいうパワハラまがいの指示を、内閣官房IT総合戦略室の幹部に向けて出していたことが、音声データの流出によって明らかになったと朝日新聞が報じている。

流出した音声データには、請負先のNECについて「(五輪後も)死んでも発注しない」「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」と語っているほか、「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」との発言も。またNEC会長の名をあげ、幹部職員に「脅しておいて」と求めているところも収録されている。

平井氏は朝日新聞の取材に対して「交渉するスタッフが弱腰になったら、いくら取られるかわからない。国民の血税だから強気で交渉しろ、と伝えた」と発言の経緯を説明しているという。

「下請け法を勉強して欲しい」との意見も

今回の件で取沙汰されているアプリとは、東京五輪・パラリンピックの観客向けのアプリ。当初は約120万人の利用を想定して、今年初頭から開発が進められていたもので、その費用はなんと約73億円。不具合や再委託が問題となったコロナ接触確認アプリ「COCOA」の開発費用が約3億9,000万円なので、実にその18倍もの巨額が投じられる予定だったという。

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ところが、その後海外からの観客受け入れを断念し、想定される利用者が選手やその関係者のみに減ったことを受け、アプリのほうも顔認証など一部の機能が省かれるなど簡素化されることに。それによって、先述の通り約73億円としていたアプリ開発・運営の費用を38.5億円減らすことにしたのだ。

今回流出した平井氏によるパワハラまがいの指示は、この費用の大幅縮小を請負先のNECに伝えるに際して、自分の部下に対してある種の“心構え”的なノリで伝えたものとされるが、これは下手をすれば「国が不当な圧力をかけて請負金額の減額を迫った」とも捉えられかねない行為であるとの指摘も。ネット上では「下請け法に関して勉強してほしい」「ちょっとやりすぎ」との厳しい声が多数あがっている。

「黙れ、ばばあ!」蒸し返される過去の問題発言

自他ともに認める「自民党きってのIT通」としても知られる平井氏の、パワハラ体質が露呈する格好となった今回の件。改めて彼の経歴をみてみると、祖父や父も大臣を務めた政治家一家の出身で、大学卒業後は電通を経て“家業”である香川の放送局の社長に就任し、その後に政治家へと転身したとのこと。その輝かしすぎる経歴からしても、恐らくは下請けの立場に立って考えるなどといった心根は、一切持ち合わせてないのだろう。

いっぽう、平井氏による“舌禍”は今回が初めてではない。今回の件で改めて蒸し返されているのが、彼が自民党のネットメディア局長だった2013年に、ニコニコ生放送で行われていたネット党首討論において、あろうことか社民党の福島瑞穂党首に対して「黙れ、ばばあ!」とのコメントをカキコミをしたという一件である。

当時、記者の追及を受けた平井氏は、自身が誹謗中傷を書き込んだことを認めたものの、「申し訳なかったが、やじみたいなものだ」と釈明。さらなる炎上状態となったのだが、ちなみに平井氏のコメントだとバレた理由は、自身のIDが表示されている状態のまま書き込んだからというもの。「ネット中傷」自体、もってのほかの行為であることは言うまでもないが、ID表示に関して全く無頓着だった点、あるいは知っていたかどうかも疑わしいところも、IT通が聞いて呆れるといったところだ。

さらに昨年には、国会審議中にも関わらずタブレット端末で、なぜかワニの動画を鑑賞していたことがバレて、釈明に追われるといった騒動も起こしている平井氏。こうしてみていくと、本当にIT通なのかどうかはさておき、それ以前に議員としての素養に著しく欠けているのではとも疑いたくもなってくる。

露わになった平井大臣の「人望の無さ」

今回の音声データ流出で判明した「脅し」発言に関して、平井氏は自分のものと認め「不適当な表現だった」と陳謝。さらに「(話し相手は)10年来仕事をしてきた仲間なので非常にラフな表現になった」と説明したという。

この釈明に対し、ネット上であがっているのが「仲間ならなぜ音声データが流出したんだ?」といった意見だ。

今回の音声データがどういったルートで流出したかは、当然ながら明かされてはいないが、恐らくは平井氏が“仲間”だと思っていた人物からのものである可能性が高そう。もしそうだとすれば、数多ある報道機関のなかから朝日新聞を流出先に選んだところにも、流失させた人物の情念の強さを感じるというか、よほど嫌われていたのかとも邪推したくなる。

「菅政権の目玉政策」とまで言われたデジタル庁の創設だが、そのトップに立つ人間がとんでもないパワハラ体質で、なおかつ人望も薄いとなれば、高い調整力が問われるであろう省庁横断でのデジタル化推進など、夢のまた夢といったところだろうか。

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