サイバーエージェントの2021年度第2四半期決算では、全体的な売上が大きく伸びて好調な結果となりました。競合と比較して、なぜ広告事業の成長率に差が生まれたのでしょうか?オリンピックがサイバーエージェントに与える影響についても解説します。『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2021年5月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
メディア事業とゲーム事業が売上に大きく貢献
私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、以下の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
――(伊佐山真里)皆さんこんにちは。今回は、サイバーエージェントの2021年度第2四半期の決算をシバタさんと一緒に読んでいきたいと思います。
――売上高は、今回YonY+26.6%で、1,634億円となっていました。営業利益は、なんとYonYが2.1倍になっており、258億円という結果でした。
――メディア事業、広告事業共に良い結果になっていましたが、何よりゲーム事業の営業利益がYonY+122.3%で232億円となっていたのが、とても目を引く結果となりました。
――シバタさんの今回の印象はいかがでしたか。
(シバタナオキ)ゲームの伸びがすごかったのもありますが、やはり全体の売上がYonY+26.6%で伸びているのが良いペースだったのではないでしょうか。
どの事業も伸びているのですが、特にメディア事業の伸びがすごいのと、ゲーム事業が今回好調でした。とても良い決算だったと個人的には思います。
競合と比べて広告事業の成長率に差が生まれたのはなぜ?
――これらの事業をひとつずつ見ていきましょう。まず、事業の柱である広告事業です。
――売上は、YonY+10.8%で伸びています。
――上の画像を見ると、コロナの影響からも抜け出したように見えました。電通や博報堂の1~3月の結果とも比べてみましょう。
――電通の「電通ジャパンネットワーク」は、YonY−0.9%と、ほぼ横ばいとなっていました。
――博報堂は、YonY+4.7%となっていたので、サイバーエージェントの広告事業YonY+10.8%の成長率というのは、かなり大きいなと感じました。
――電通、博報堂、サイバーエージェントが追いかけていく図は、コロナ前からあったと思いますが、この成長率の違いの原因は何なのでしょうか。
広告には、認知系の広告とパフォーマンス系の広告があります。電通と博報堂は認知系、サイバーエージェントはパフォーマンス系の広告が多いです。
コロナの中でも、パフォーマンス系の広告は伸び続けた一方、ブランド・認知系の広告は減りました。非常事態になると、パフォーマンス系の広告は皆買い続けるのですが、認知系の広告は割と絞る人がいます。
そのような意味では、サイバーエージェントの元々の事業ドメインの部分が、環境的に良かったのでしょう。
YonY+10.8%はもちろん素晴らしい結果です。しかし一方で、同じクオーターの決算を見てみると、GoogleやFacebookは、YonY+30%で伸びていたりします。
電通や博報堂と比べればもちろん良い結果ではありますが、広告系のGAFAと比べると、まだまだ物足りません。そのような両側の視点で見た方がいいのではないでしょうか。
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