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またマスク氏のツイートで急伸。ビットコインを「濫用」する企業や国家と、その割を食う市民たち

最近は続落となっていたビットコインだが、ニューヨーク時間13日に一時9.3%高の3万9,371.93ドルを付けるなど、3万9,000ドルを超える水準に上昇した。

急伸のきっかけとなったのは、やはり最近のお決まりのパターンで、米テスラ社のイーロン・マスクCEOによるツイート。テスラ社では、5月中旬より環境懸念を理由にテスラ車販売におけるビットコイン決済を中止していたが、マイニング(採掘)において一層クリーンなエネルギーで行われることが確認できればビットコイン決済を再開する、とコメント。これが好材料と受け止められたようだ。

ただ、マイニングの際の再生可能エネルギー使用に関しては、業界内でもさまざまな議論があるうえ、マスク氏が実際どのようにエネルギーの適正使用を見極めるのかは不明だという。

イランは国を挙げてのマイニングで大儲け?

ビットコインをはじめとした暗号通貨が、マイニングによって大量のエネルギーを消費することに関しては、あのマイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏もつい最近、エコじゃないと苦言を呈するなど、俄かに問題化している状況だ。

このマイニングの“本場”として知られるのが、石炭などの化石燃料から電力の多くを調達している中国で、近年の暗号通貨の盛り上がりもあって、そのエネルギー消費量は2017年から10倍に急増しているというデータもある。

ただ、最近ではマイニングの“中国一局集中”の状況が、徐々にではあるが分散化しつつあるとのも。このところシェアを伸ばしてきているのがロシアやイランといった国だ。

特にイランは、アメリカの経済制裁によって低成長に喘いでいる状況だが、政府がマイニングを産業として認めている。もともと中国と同様に化石燃料が多く、安価で豊富な電力供給が可能ということで、マイニングにはうってつけの土地柄。それもあって、国内でのビットコイン報酬は年1,000億円を超えるとのことで、その稼いだ暗号資産で輸入品を購入することで、経済制裁の影響を緩和しているのだという。

【関連】ギャング大国のエルサルバドル、ビットコインを法定通貨へ。相場暴落の根源イーロン・マスク氏を心配する声続々

ビットコインへの国レベルでの関わりといえば、つい最近も中米・エルサルバドルのブケレ大統領が、ビットコインを法定通貨にしたいという考えを表明したばかり。その後、現地の議会に提出されたビットコイン法は圧倒的支持で可決され、近日中に施行される予定だ。

ビットコインの乱高下に翻弄される世界の市民たち

このように、最近ではテスラといった企業の肩入ればかりでなく、様々な理由で経済状況の厳しい国々の間でもビットコインの積極活用の動きが目立つが、その反面で一般の​小口ホルダーは、最近の乱高下もあってか金銭的にも精神的にもすっかり疲弊している印象。アメリカでは既報の通り、イーロン・マスク氏が「一般の勤労市民への投資を軽視している」として、ハッカー集団・アノニマスから宣戦布告されたばかりである。

いっぽう先述したイランでは、マイニングを大いに奨励した結果、電力消費が急増してしまい、国内の主要都市では停電が頻発しているという。国を挙げてビットコインに傾倒するしわ寄せが、何ら関係のない一般市民に及んでいる形だ。

さらに日本国内では、テスラ車に「おれのビットコインかえせ!」なる張り紙が貼られるという出来事があったようで、車の所有者による嘆きのツイートがバズる結果に。恐らくは最近のビットコイン暴落で損害を被った者による仕業のようだが、とはいえ直接的に関係ないテスラ車オーナーに怒りの矛先が向いてしまったことに、ネット上からは多くの同情の声が集まっている。

ビットコインに関しては、一部のアナリストから近い将来10万ドルに到達するのではとの、夢のような見立ても出ているが、今後もそうやって華々しく値が動くほどに、一般大衆レベルにおいては暗号通貨への倦厭感が徐々に募っていく、そんな状況が続いていきそうだ。

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