今や若者たちのファッションアイテムのひとつとしてすっかり定番化した、チープカシオ。かつてはユーザーのほとんどを年配男性が占めていたこの廉価時計が、なぜ流行に敏感な人々からの支持を得るに至ったのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、その理由を探っています。
腕時計「チープカシオ」は、なぜ売れているのか?
カシオが販売する、1,000円~数千円程度の格安腕時計が、「チープカシオ」と呼ばれ、数年前から人気があります。「チープカシオ」は、当然正式名称ではなく、誰かが言い出した俗称です。
“チープ”と言っても、安物をイメージしているのではなく、現代的に言えば、“プチプラ(プチプライス)”といったところ。親しみを込めて、そう呼ばれています。
では、なぜ人気となっているのでしょうか。
実物を見ればわかるのですが、確かに“チープ”です。しかし、その“チープさ”を「お洒落アイテム」として、上手く取り入れている人たちがいます。
「チープカシオ」には、デジタル式とアナログ式がありますが、それぞれにファンがいます。デジタル式は、見るからに古いイメージで、まさに“レトロ感”満載。ライターやデザイナーなど、時代の先端を歩いている人たちが、面白がって身につけています。古さが逆にお洒落な感じを醸し出しているのです。アナログ式は、“超”がつくほどシンプルなデザインで、ファッションにも合わせやすくなっています。
特徴がないと言っても良く、それがかえって、お洒落に敏感な人たちを刺激しているのです。「シンプルだから、“ヌケ感”を出すのに最適」などと、私などの中年世代には理解できない表現で、誉めたたえています。
確かにお洒落で、ファッションに鈍感な私でも欲しくなります。しかも、1,000円程度という買いやすさは、人気を高める大きな要因となっています。
腕時計は安いものではなく、ファッションとして頻繁に買い揃えることはできません。しかし、1,000円程度ということで、迷うことなく買うことができます。不況であっても、お洒落を楽しむことができるのです。何本も買い集める人もいると言います。また、価格の割に電池寿命も長く、耐久性も高いのです。
少し前までは、お金のない人用の“間に合わせ時計”でしたが、いまは時代の欲求にマッチした、最先端お洒落アイテムとなっています。
モノのイメージは、時代や人によって、捉え方がまったく違います。昔は“ダサかった”モノでも、いまの人には“カッコいい”モノなのかもしれません。
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