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消費減税5%を表明も「公約ではない」と肩透かしの立憲・枝野代表。進まぬ野党共闘にイライラの支持者からは「分党」を望む声も

立憲民主党の枝野幸男代表が、一度は消費税率の引き下げを目指すと国会で表明したものの、その後すぐに「選挙の公約ではない」とトーンダウンしたことが、多くの批判を呼んでいる。

枝野代表が消費減税を主張したのは、15日に内閣不信任決議案の趣旨説明をした時。同党が政権を獲得した際に、新型コロナウイルスで打撃を受けた国民生活への時限的な経済対策ということで、消費税率を現在の10%から5%に引き下げを行うことを表明。くわえて年収約1000万円以下の個人に所得税の実質免除、低所得層には消費税5%の負担相当額以上を現金給付、持続化給付金の再支給なども同時に行うと説明した。

ところがその翌日の報道では、消費減税に関しては「実現できるかは不透明」ということで、来る衆院選の公約には盛り込まないと伝えられ、また同党の福山哲郎幹事長も16日の会見で「実現不可能な可能性が高いのに、選挙公約にはできない」と、打ち消す発言をした。

時限的な措置とはいえ、消費減税となれば目玉の政策となるところだったが、結局は肩透かしに終わる形に。これら一連の流れに対して、ネット上からは「もう酷い過ぎる」「言うだけ番長」「要するにやる気がない」と、批判の声が殺到する結果となっている。

元々は消費減税に否定的だった枝野代表

今年4月に行われた衆参3つの補選・再選挙は、すべて野党候補が勝利するなど、今や当たり前となりつつある選挙戦での野党共闘。今秋までには行われる予定の衆院選に向けても、今後各党の間で具体的な協議が進んでいくものとみられるが、その際のいわば「旗印」となる公約として浮上しているのが、今回枝野氏が語っていた「消費減税5%」だ。

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今月6日には、立憲民主党の馬淵澄夫元国土交通相とれいわ新選組の山本太郎代表でつくるグループが、消費税率5%への引き下げを求める提言書を国民民主・社民の両党に提出。それに対し国民の玉木雄一郎代表は「野党結集の軸にしていきたい」、さらに社民党の福島瑞穂党首も「向かっている方向性は似ている」と、好意をもって受け止められる形となった。

共産党も元から消費税率5%への引き下げを主張しているとあって、野党各党内で話がそれでまとまるかと思いきや、それに対して難色を示しているのが立憲民主党の一部議員。特に枝野代表は、昨年テレビに出演した時にも「消費税を選挙の道具に使ってはいけない」と発言するなど、消費減税を公約に掲げることには以前から慎重な姿勢だった。

そんな枝野代表の口から出た「消費減税」だっただけに、立憲民主党をはじめとした野党支持者からは、喜びの声が多数あがる形に。もちろん、減税になるのが嬉しいというよりも、「これで野党共闘が進む」「ようやく枝野が本気になった」ということでの喜びだったのだが、これも結果的にはぬか喜びとなってしまったようだ。

進まぬ野党共闘に支持者からも苛立ちの声が

昨年からのコロナ禍における数々のグダグダぶり、さらに国民の声をヨソにあくまで五輪開催にこだわる姿勢などで、すっかり支持率を下げている自民・菅政権。とはいえ、今後ワクチン接種がどんどん進み、感染者数の増加が収まっていく展開となれば、そのコロナ政策が一定の評価を得る可能性も大いにありえそう。さらに、東京五輪が大きな混乱なく終わり、国民の間で「色々あったけど開催してよかったね」といった空気になれば、それも自民にとっては追い風となっていきそうだ。

いっぽうで、立憲民主党は政権へ不満の受け皿になりきれていないとの指摘も多く、政党支持率も一けたの低迷が続く状況。となると、やはり頼みは「野党共闘」ということになるが、その「旗印」となるとされていた「消費減税5%」の公約化は、自らの党がネックとなり話がまとまらない状況。それ以外にも、国民民主党の玉木雄一郎代表が「共産党が入る政権には入らない」と公言しているなど、なかなか一枚岩とはいかない状況だ。

このように「野党共闘」が遅々と進まぬ状況だけに、立憲民主党の支持者からも「枝野じゃ勝てん」との声が。さらには、枝野代表ら消費減税に否定的な人々を残して、逆に肯定的な議員たちで新党を立ち上げては、といった過激意見も一部からは飛び出している。

今回、枝野代表が自らの本意でもなく、さらには誤解も生みかねない「消費減税」発言をどうしてしてしまったのか。その意図は読み切れないが、野党共闘による政権交代を待ち望む立憲民主党支持者に対しては、ずいぶん罪作りなことをする格好となったようだ。

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