東京五輪「強行」は「凶行」となる。医療逼迫で危惧される“戦後最悪の夏”

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開幕予定日まで40日を切り、なし崩し的に「どう開催するか」だけが焦点となってきた感のある東京五輪。どうやら政府や組織委員会は、無観客開催すらも考えにはないようです。5千人であれ1万人であれ、観客を入れての開催となれば、「戦後最悪の夏」になる可能性があると警鐘を鳴らすのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは五輪開催により全国で各種イベントが可能となることで発生する人の移動が、中年世代の重症者を多く出し、それが最悪期の大阪と同様の医療逼迫を招く危険性を訴えています。

五輪と人流のこと

「オリンピックまであと何日」こんな感じのカウントダウン式の掲示を街中でもよく見かけるようになった。いよいよ来るところまで来てしまったという感じである。やはりもう、どうにもならないのだろうか。

言うまでもなく、オリンピック開催がコロナ対策にとってプラスになるところなど一つもない。それは、狂信的あるいは盲目的なオリンピック推進派であっても分かっていることであろう。しかし自分で言っておいて何だが、狂信的な推進派や盲目的な推進派などがリアルに存在するとはとても思えないのである。

だとするとこの強行(下手をすると凶行)の原動力は、決断できないという惰性の力か、差し引きで考えれば得をするかも、といった私欲の力くらいしか考えられない。いずれにしても恐ろしい話である。

ここで改めて言うが、オリンピックの最大の不安要素は何と言っても人流の増加である。その一次的なものはオリンピックを観戦するために日本全国からお目当ての会場に集まる人々がつくる流れである。二次的なものはパブリックビューイング(日々、各所で中止の報を聞いてはいるが)やスポーツバーなどでの集会型の観戦に参加する人々がつくる流れである。

そして三次的なものは、オリンピック開催に後押しされる恰好で日本中で堰を切ったように開催されるであろう各種イベントに集まる人々がつくる流れである。五輪の開催は、あらゆるイベントの開催許可と同義なのである。これ以外にもオリンピック関係者に感染者が出るという第零次も考えられる。しかも人の流れは水と違って一方通行ではない。集合しては拡散し、拡散してはまた集合する。もしかしたらこの夏は戦後最悪の夏になるかもしれないのである。

一方、政府は攻撃の矛先をかわすかのように連日「ワクチン、ワクチン」である。仮に当初の計画通りに7月末までに高齢者のワクチン接種が完了したとしてもとてものこと安心などできるものではない。コロナに感染した場合、高齢者の重症化率は11%、一方中年は2.4%である(インド株のデータは含まれない)。ただ数字だけを追えば、高齢者の感染がなくなれば随分余裕が出てくるようにも見える。だが実際はそうは行かないのである。

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