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五輪会場「酒類販売」容認へ。国民の命より協賛企業への忖度優先、スーパードライな組織委に批判殺到

開会式までいよいよ約1か月に迫った東京五輪だが、その会場で観客への酒類の販売を認める方向で、東京五輪・パラリンピック組織委員会が調整していることが判明し、多くの批判の声が集まっている。

報道によると、組織委員会は今週中に観客のガイドラインを発表する予定。その素案では、酒類の販売に関してはもはや大前提とされているようで、そのなかで会場内の通路でのグループによる飲食を避けることや、販売の時間帯などに制限を設けることなどが盛り込まれているようだ。

組織委員会の橋本会長は21日の記者会見で「観客への酒類の販売、提供については、大声の抑止、安全な誘導の実現の観点や現在の(社会の)一般的ルールに鑑み、検討中」とコメントしている。

スポンサーへの配慮を訴える丸川五輪相

昨年来より新型コロナ感染拡大の元凶として、これまで目の敵のようにされていた「飲食店での飲酒」。

東京都などで先週末まで発令されていた緊急事態宣言時には、酒の提供が一切禁止とされるなど、飲食店の営業に対して厳しい制限をかけてきたにも関わらず、五輪会場での飲酒に関してはすんなりOKというのは、どう考えてもおかしい話ということで、ネット上では多くの批判的意見があがる事態に。

また各テレビ局のワイドショーでも、22日朝には早速この「飲酒容認」方針が取り上げられれいたようで、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターである玉川徹氏は「これ、居酒屋とかバーの人が聞いたら激怒じゃないですか。矛盾してますよ、論理が」と呆れ顔。いっぽうで、元宮崎県知事の東国原英夫氏も「感染対策をしている飲食店はフルオープンにして上げないと」と語るなど、従来までの飲食店への厳しい規制とはあまりにも異なるユルい決断に、疑問の声をあげていた。

今回の件に関しては政権内の関係者も次々とコメントしており、丸川五輪相は「大声を出さない、拍手での応援などの観戦スタイルが貫かれる形で検討願いたい」と語る反面で、「大会の性質上、ステークホルダー(利害関係者)の存在がどうしてもある」ともコメントしている。

また、自民党の二階幹事長は「個人の考えを聞かれれば、都民の皆さんにも注意を喚起するという意味では、(会場での)アルコール禁止ぐらいは考えておく必要がある」と発言。「酒類販売の中止」もひとつの選択肢ではないかという見方を示している。

「感染拡大予防」のネックになっているスポンサーの存在

五輪の組織委員会が、会場での酒類販売に関してはどうしてもやらなければならないという姿勢なのは、先述の丸川五輪相が思わずぶっちゃけた通りステークホルダーの存在、つまりは五輪にお金を出してくれるスポンサーに対して、何らかの見返りをしないといけないという意識、つまりは忖度から来ているのは言うまでもない。

また今回の件以外でも、先日来から問題となっている観客の上限数に関しても、スポンサーの存在がちょっとしたネックになっているという。報道によると、政府がイベント開催基準としている観客数の上限は1万人だが、五輪開会式に関してはその2倍となる2万人を上限とする案を検討しているといい、その理由が競技団体関係者はさることながら、スポンサー絡みの招待客らを大幅に減らすのが難しいという事情から来ているというのだ。

五輪の商業主義は今に始まった話ではないものの、今回に関してはそれが新型コロナ感染拡大予防よりも優先されてしまっているとの見方もあり、その怒りの矛先は今回の五輪でゴールドパートナーを務める某ビールメーカーにも。ネット上では「会場で酒を販売させろとIOC、JOCにゴリ押ししてんのかね」「何たる商業主義」との声や、さらには同社商品の不買を訴える声もあがる事態となっている。

イベントとして肥大化し続ける五輪の開催に、スポンサーの存在が必要不可欠なのは当たり前の話。とはいえ、大会運営サイドによるスポンサーへの過度な遠慮や忖度は、逆にその企業の持つイメージを大きく下げること繋がりかねず、組織委員会は今後難しい決断を迫られそうだ。

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