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ヤマダ、相談役への功労金「5億円」は高いか安いか?株主優待「改悪」直後で投資家からは不興を買う事態に

家電量販店などを手掛けるヤマダホールディング(HD)が、近く退任する相談役に対して特別功労金として5億円を支払うと提案していることが、株主を中心に物議を醸す格好となっている。

先日、株主に向けて送付されたというヤマダHDの第44回定時株主総会の招集通知によると、特別功労金の贈呈対象は2021年6月末日をもって退任する相談役の一宮忠男氏。そこには「取締役在任中の功労に報いるため、特別功労金として500百万円を贈呈したいと存じます」と書かれてある。

これに対してSNS上では、恐らくはヤマダHDの株主だと思われる人々から「舐めるな」「この会社のガバナンスって」などと、その高額な特別功労金に対して否定的な意見が多く飛び交う事態となっている。

急成長を支えた「ナンバー2」の功労金で5億円は高い?

ヤマダ電機といえば、山田昇氏が街の電気屋さんとして1973年に創業。1980年代からは郊外型の家電量販チェーンとして店舗を増やし、さらに2000年代からは全国各地のローカルな量販店との提携や買収などで全国展開を加速。ついには専門量販店としては日本で初めて売上高1兆円を達成するとともに、家電量販店では初となる全都道府県進出も果たすなど、一代で急成長を遂げた企業であることは広く知られているところ。

近年では住宅販売業も精力的に展開し、さらに最近では大塚家具の完全子会社化も決まるなど、多角化にも余念がない状況だ。

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さて、今回相談役を退任する一宮忠男氏だが、創業者の山田昇氏からみて甥にあたる人物。ヤマダがまだ群馬・前橋のイチ電気店だった頃の1983年に入社し、量販店第1号店の立ち上げにも関わったという超古株で、取締役は1986年より34年に渡って務め、そのうちの2008年~12年間は代表取締役の地位に。いわば山田昇氏による立志伝を、ナンバー2として長らく支えた存在と言えそうだ。

2000年代までは右肩上がりの成長を続けていたヤマダだったが、2010年代にはその勢いに陰りが見え、経営状況が落ち込む時期も。しかし最近の業績はすこぶる良いようで、今年5月上旬に発表した2021年3月期決算は、売上高が1兆7,525億600万円(前年同期比8.7%増)、営業利益920億7,800万円(140.2%増)、経常利益988億7,500万円(114.6%増)という好結果になった。

売上は1.7兆円、営業利益も1,000億円目前という、いまや押しも押されぬ巨大企業に、創業間もない頃から40年近くに渡って働き、さらには代表取締役も務めた人物への功労金。それが5億円という金額なのは、会社の規模やこれまでの功績を考えてみても、決して高すぎるものではない、そんな声も一部ではあがっている状況だ。

優待「改悪」が伝えられたばかりだったヤマダHD

にもかかわらず、ネット上ではこの「功労金5億円」に対して否定的な意見も多いのかというと、どうやら今年2月に公表された株主優待の「改悪」が尾を引いているようなのだ。

ヤマダHDの株価だが、このところは500円あたりで推移しているということで、1単元である100株でも5~6万円で購入可能。そのことから株初心者の間、ことに優待目当ての層からは「初めての投資」にうってつけとされているようで、さらにその優待のほうも、株の保有数に比例してもらえる優待券が比較的お得だとして、以前から人気が高かったようだ。

ところが、今年2月に発表された株主優待に関する一部変更で、100株以上~500株未満の株主に贈呈される優待券の枚数が、従来の半分に減らされることに。具体的にいえば、これまでなら年間3,000円分の優待券が贈呈されていたのが、今後は1,500円分まで減らされることになったという。

対象となったのは、先述の通り100株以上~500株未満の株主ということで、まさに優待目当ての個人ホルダーを直撃する形の「改悪」に。そのため、そういった層からは一斉に反発の声があがったワケだが、その悪印象も冷めやらぬタイミングでの「功労金5億円」ということで、批判の声があがったというのだ。

確かに株主へのウン千円の優待を渋るいっぽうで、功労金はポーンと5億円というのは、心情的に納得できないという意見も分からなくもないが……。このように思わぬ形で注目を集めることとなったヤマダHDの株主総会は、来る6月29日に行われる予定となっている。

Next: 「株主総会の会場が遠い…」

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