鶏卵大手前代表、贈賄認める 吉川元農水相に500万円―東京地裁

2021.06.28
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by 時事通信


「アキタフーズ」関連の汚職事件で、吉川貴盛元農水産の事務所の家宅捜索に入る東京地検の係官ら=2020年12月、札幌市内

「アキタフーズ」関連の汚職事件で、吉川貴盛元農水産の事務所の家宅捜索に入る東京地検の係官ら=2020年12月、札幌市内

 元農林水産相で元衆院議員の吉川貴盛被告(70)が鶏卵業者から500万円を受け取ったとされる汚職事件で、贈賄罪などに問われた鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)前代表の秋田善祺被告(87)の初公判が28日、東京地裁(向井香津子裁判長)であり、同被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、吉川被告への現金提供は快適な環境で家畜を飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に基づく国際基準案が国内業者に不利にならないようにすることや、日本政策金融公庫から養鶏業界への融資条件緩和が目的だったと主張した。
 東京都内のホテルでの1回目の現金提供の際、農水相就任祝いと称し、秋田被告が吉川被告のポケットに封筒に入った200万円をねじ込むように入れたと指摘。大臣室での現金提供では、「要望書です。読んでおいてください」などと言い、帰り際に封筒入りの現金を置いていったとした。
 検察側は、捜査段階での吉川被告の供述調書の概要も読み上げた。現金授受を認め、「私的な飲食代金として使った」としている。
 起訴状によると、秋田被告は養鶏業界への便宜を図ってもらうなどの目的で、吉川被告が農水相在任中の2018年11月~19年8月、都内のホテルや大臣室で3回にわたって計500万円の賄賂を贈ったとされる。
 秋田被告は、吉川被告らの政治資金パーティー券を名義を偽装して購入したとして政治資金規正法違反罪にも問われている。
 関係者によると、吉川被告は受け取った現金が賄賂だとの認識を否定。同被告の公判期日は決まっていない。(2021/06/28-17:23)

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