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赤字でも巨額の経営者報酬、広がる従業員との格差。元凶は「穴だらけ税制」にあり=矢口新

S&P500採用企業のCEO報酬は5年連続で史上最高を更新した。赤字企業でも、巨額報酬を得ている経営者がいる。経営者と従業員の貧富格差は広がる一方だ。この不平等は、税制を見直すことで解決できる。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2021年6月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

経営者と従業員に所得格差

ウォールストリート・ジャーナルの報道では、S&P500社2020年のCEOの報酬の中央値は1,340万ドルと、5年連続で史上最高を更新した。2012年からの伸び率は38.9%で、同時期の従業員の賃金上昇率28.1%を大きく上回った。

最高報酬はペイコム・ソフトウェア社創業者のチャド・リッチソンCEOで、2億1,113万ドルだった。一方、最低報酬はゼロで、テスラ社創業者のイーロン・マスクCEOだった。とはいえ、マスク氏は同社の大株主であるため、株価の変動により何度も一時的な世界一の大富豪なったり、落ちたりしていることが知られている。
※参考:From Tesla to GE, See How Much CEOs Made in 2020(2021年6月1日)

これで分かるのは、経営者と従業員の所得格差が拡大を続けているということだ。

赤字企業でも経営者報酬はたんまりと

報酬が数ドル以下の経営者たちも何人かはいるのだが、彼らはマスク氏のように自社の大株主で、2019年以前に破格の報酬を受け取っている。

一方、2020年には2人のCEOが大企業であるS&P500社のCEOが及びもつかない報酬を手にし、CEO報酬としての過去最高を記録した。

9月に新規上場したデータ解析会社パランティア・テクノロジーズのアレクサンダー・カープCEOは2020年に、7億9,800万ドル相当のストックオプションと2億9,600万ドル相当の譲渡制限付き株式を含む11億ドルの報酬を獲得した。

12月に新規上場した料理宅配サービス会社ドアダッシュのトニー・シューCEOは、上場直前に4億ドル以上の価値があった譲渡制限付き株式を手にした。
※参考:Palantir and DoorDash CEOs Top List of Biggest Pay Packages in 2020(2021年6月3日)

パランティアとドアダッシュは、いずれも利益を出していない。

Next: 日本でも格差拡大中。すべての元凶は「税制」にある

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