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中国で即時配送が急拡大「1時間以内のお届け」で何を買っている?日本では広がらぬワケ=牧野武文

中国の都市部ではほとんどの商品が1時間以内に配達される「即時配送」が急拡大しています。日本の感覚では、そんな急ぐ必要はあるのか?と思うかもしれません。今回は中国で急拡大する理由と、即時配送の難しさについてもお伝えします。(『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2021年6月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

なぜ中国で「1時間以内の配送」が急拡大?

日本でもウーバーイーツなどのフードデリバリーが、スーパーやコンビニの商品の配達を始めています。

先行している中国の「美団(メイトワン)」「ウーラマ」は、すでに4分の1が料理以外のスーパー・コンビニ・小売店の商品を運んでいます。また、料理以外の商品を即時配送する「達達(ダーダー)」もサービスを大きく拡大しています。

中国の都市部では、ほとんどの商品が、スマホで注文して1時間程度で宅配される環境になっています。このようなサービスは即時配送、店舗EC、到家サービスなどと呼ばれます。

しかし、日本人の感覚だと「そこまで急いで商品を届けてもらう必要はない」という感覚もあるのではないでしょうか。

普通のECであっても、翌日配送が当たり前になっているため、電球が切れたなどの特別な場合以外は必要がないと感じられる方も多いかと思います。

今回は、中国でなぜ即時配送が拡大するのかをご紹介します。

また、即時配送を実現するには、店舗側にも工夫や業務改革が必要で、うまく対応できずトラブルを起こしている小売チェーンもあります。即時配送に対応するのに難しい点とは、どのようなところなのでしょうか。即時配送の難しさについても、ご紹介します。

デリバリーの25%「料理以外」

中国の都市部では、黄色いユニフォームの美団、青いユニフォームのウーラマのライダー(=騎手)が電動バイクに乗って、忙しく配達をしています。日本の出前館やウーバーイーツと同じで、スマホで注文した飲食店の料理をデリバリーしてくれるものです。

しかし、今やデリバリーするのは料理だけではありません。一般商店の商品、コンビニ、スーパーの商品、医薬品、花束、ケーキなどあらゆるものをデリバリーします。

「飲食外売再開消費報告」(美団)によると、コロナ禍が起きる2020年春節以前は、料理以外のデリバリー数は全体の12.72%でしたが、コロナ禍が終息をして、店舗の営業が再開すると25.38%に伸びています。新型コロナの影響で、外を出歩きたくない、デリバリーを利用するという心理が働き、現在でも4分の1が料理以外になっています。

また、最初から料理以外の即時配送を主要サービスとして創業したのが、上海を本拠地とする達達(ダーダー)です。全国2,400の都市、地域をカバーし、京東、ウォルマート、永輝スーパー、サムズクラブ、7フレッシュ、ファーウェイショップなどの商品をスマホで注文すると、1時間程度で配達してくれるというものです。

さらに、EC「京東」(ジンドン)も、即時配送サービス「京東到家」を始めていました。全国1,200の都市、地域で、10万軒以上の商店の商品を配送してくれます。

京東は、この即時配送に強い関心があり、達達に出資をし、京東到家と合併させ、半数以上の株式を保有するようになりました。つまり、達達は京東の子会社と言ってもいい存在になりました。
フードデリバリーと達達。この2つが中国の即時配送を支えています。

Next: 注文から6分後に口紅をお届け!中国で即時配送が拡大する理由

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