国勢調査の人口比を反映し確定される衆院選の定数が6月25日に公表され、小選挙区は首都圏を中心に10増となる一方、地方では10減となるなど、地域格差が如実となっています。このような現状を「地方の声がますます反映しづらくなる」として危惧するのは、小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さん。石川さんはメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』で今回、都市と田舎を一つの選挙区にする「飛び地選挙区」という大胆な試案の検討を提言するなど、思い切った選挙制度区割り改革の必要性を強く説いています。
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大胆な選挙区割りを検討すべきだ/このままでは島根と鳥取は全県区、北海道には四国より広い選挙区ができてしまう
一票の格差は重い。
都会でも田舎でも、国会議員を選ぶ民意は平等でなくてはならない。これが憲法の理念である。
5万票で当選できる選挙区もあれば10万票獲得しても落選してしまう選挙区もある、という状態は憲法の理念に反する。
最少の鳥取2区は人口27万4,160人、最多の東京22区は人口57万3,969人と、2倍以上の差が開いている。是正しないと憲法違反になるので5年ごとの国政調査を反映して選挙区の区割りを確定する。
今度の国勢調査速報値を基にすると新たに一票の格差を是正するために導入されたアダムス方式による計算方法では衆議院10増10減となる。
選挙区数が増えるのは、
東 京=25→30(5増加)
神奈川=18→20(2増加)
埼 玉=15→16(1増加)
千 葉=13→14(1増加)
愛 知=15→16(1増加)
となっている。ご覧のとおり、すべて都市部で、東京は一気に5つも増加する。
一方、選挙区数が減るのは
宮 城=6→5
福 島=5→4
新 潟=6→5
滋 賀=4→3
和歌山=3→2
岡 山=5→4
広 島=7→6
山 口=4→3
愛 媛=4→3
長 崎=4→3
で、田舎の定数はますます減少していく。
一票の格差を是正するためには当然のことであるが、これでは選挙区があまりにも広すぎるところが出てくる。地方の声はますます反映しづらくなる。
このままでは鳥取県と島根県の衆議院選挙区は、次の区割り改定でそれぞれ一つになる。北海道では、四国や九州と同じ広さの選挙区が作られることになっていく。すでに私どもの北海道11区は岐阜県と同じ広さだ。北海道12区は岩手県と同じ広さになっており、このまま拡大するといずれ四国や九州の面積を超えてしまう。
ここは思い切って、「飛び地」で都市と田舎を一つの選挙区にすることを検討すべきはないだろうか。都市と田舎の利益は相反することも多い。
しかし、日本全体を考えられる政治家を育てるためには、双方の課題を考えられる政治ができる政治家を育てることも大切だ。都道府県を超えて、減員区の地域と東京の選挙区の一部を合わせて「新選挙区」とする考え方もある。
思い切った選挙制度区割り改革を、一刻も早く成案にすべきだ。
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