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かっぱ寿司の社長、はま寿司から売上データ「かっぱらい」。買収以降、5度の社長交代…親会社コロワイドの圧で功を焦ったか?

「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトが、ライバルチェーンである「はま寿司」の売上データなどを複数回受け取ったとして、不正競争防止法違反容疑で先月28日に警視庁の捜索を受けたと判明した。

報道によると、売上データを受け取っていたのは、はま寿司の元取締役で現在はカッパ・クリエイトの社長を務めている田邊公己氏。昨年11月にカッパ・クリエイトの顧問に就任し、その直後の同11~12月の間に、元同僚からはま寿司の売上データなどを、私用メールで複数回受け取ったという。

はま寿司側が警視庁に告訴し、警視庁はやりとりされたデータに営業秘密が含まれていないか捜査中。カッパ・クリエイトは「捜査に全面的に協力し、進展を踏まえて厳正に対処する」とコメントしている。

かっぱ寿司、約7年で社長の交代が5回も

2000年代までは回転寿司業界の首位の座に君臨していたかっぱ寿司だったが、2011年にスシローに抜かれて以降はくら寿司・はま寿司にも抜かれてしまい、現在は業界4位の位置。低価格戦略が規模拡大の原動力となっていたものの、安さを追い求めたために品質がおろそかになってしまった点、さらにそんな低価格戦略が、次第に顧客のニーズと合わなくなった点も、低迷の原因だと広く指摘されている。

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業績低迷に喘ぐかっぱ寿司は、2014年に外食事業を多角的に行うコロワイドの傘下に。経営の立て直しを図ったものの、スシロー・くら寿司・はま寿司の後塵を拝する状況は依然として続く。

いっぽうで、今回はま寿司の売上データを受け取ったとされる田邊氏だが、記事にもあるようにはま寿司などを擁するゼンショーグループの出身。ゼンショーでは、ジョリーパスタやココスジャパンの社長を務め、2020年11月にカッパ・クリエイトに顧問として入社。その後、執行役員副社長を経て翌年の2月に代表取締役社長に就任している。

ライバル社から移籍し、とんとん拍子で社長になったワケだが、カッパ・クリエイトの他の役員たちの経歴も見てみると、常務取締役の林浩二氏は日本マクドナルドやゴーゴーカレーの出身、さらに取締役の牛尾好智氏も過去にあきんどスシローに在籍しているなど、役員には生え抜きの人材はほとんどいないようである。

そんな田邊氏だが、かっぱ寿司に入社した時点ですでに世間はコロナ禍の真っ只中。かっぱ寿司はもともとの低迷に加えて、このコロナ禍によって上位3社との差がさらに広がっていたといい、ある記事では招かれた形の田邊氏が功を急いだ焦りが不適切な行為を招いたのでは、との推測もあがっている。

また、2014年にコロワイド傘下になったかっぱ寿司だが、それ以降なぜか社長の交代が相次いでおり、田邊氏の就任がなんと5回目の社長交代だったという。コロワイドの創業者である蔵人金男会長といえば、以前社内報で「生殺与奪権は、私が握っている」「さあ、今後どうする。どう生きて行くアホ共よ」などの言葉で社員を罵倒していたことが判明し、大きな騒ぎになったこともあるように、部下の扱いに関しては至って冷酷との声が。そのような親会社・コロワイドからのプレッシャーも、田邊氏が違法行為に手を染めてしまう遠因となったのかもしれない。

回転寿司業界「再編」の動きに影響も?

コロワイドといえば、昨年2020年は大戸屋への敵対的買収を成功させて、自らの傘下に組み込む形に。M&Aによって企業規模をどんどんと拡大させていくのが、コロワイドのいわば常套手段だが、度重なる会社買収によって生じた、いわゆる「のれん」が資本を大きく上回っている状況で、もしそれが全額損失になってしまうと、途端に債務超過に陥る危険性もあるとも指摘されている。

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買収から約7年経過するも、依然として経営状況は好転せず、そのうえ社長による不祥事も発覚してしまったかっぱ寿司を、今後コロワイドはどういう風に扱っていくのか。もともと回転寿司業界といえば、合併などの再編が目まぐるしく行われており、つい最近では業界トップのスシローがテイクアウト部門の強化のため、京樽を買収するという出来事もあったばかり。今回の出来事がまた新たな再編の号砲となるのか、注目が集まるところである。

Next: 「来月から“かっぱらい寿司”に店名変更します」

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