今国会で改正育休法が成立。男性も育児休暇を取得しやすい環境を作るとしていますが、実際に取得率が上がるかというと難しいでしょう。今回は男性が育児に専念することで得られる6つのメリットを紹介します。育休を取らないことで、生涯賃金が1億円も減る可能性があります。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
今国会で成立「改正育休法」4つのポイント
今国会で改正育休法が成立しました。男性も育児休暇を取得しやすい環境を作るとしています。
新制度のポイントは、以下といった点でしょう。
1. 育児休業中でも労使合意のうえ就業が可能
2. 育児休業の分割取得が可能
3. 企業側から労働者への育児休業取得意向の確認義務化
4. 従業員数1,000人超の企業は育児休業の取得状況公表義務化
(1)は収入が減ることへの不安解消。(2)は夫婦交代での育児が可能になります。(3)は育児休業が取得しにくいという雰囲気の打破。(4)は積極的に育児休業を取得する社会環境の整備につながっていくと思われます。
義務化されても育休取得は増えない?
ただし義務化とはいえ、いまのところは罰則規定などはなさそうなので、特に日本の企業数の9割以上を占める中小企業への実効性という意味ではまだまだ浸透に時間がかかりそうです。
というのも、中小企業は従業員一人一人の存在感が大きく、「その人が育児休業に入ると仕事が回らない」「代わりに人を雇わなければならない」「するとその人の戻る場所がない」ということになり、「休むか辞めるか」を迫られ、結局は「育児休業を取らずに働く」を選ばざるを得ないからです。
たとえば「事務職が1名」「設計職が1名」「営業職が1名」などという会社もありますし、仮に営業が複数名でも、1名抜けたら残った人たちは激務となって死んじゃうよ、ということもあるからです。
私も中小企業の経営者として、「ただでさえ少人数なのに、休業なんて取られちゃ困るよ~」と実感しているので、擁護したい気持ちもなくはありません。
もっと突っ込んだ対策が必要
そこで、さらに追加して「ベビーシッター代の助成」があればいいなと思います。
ベビーシッターを安価で雇えるなら、会社を辞めずとも(あるいは完全に休業しなくても)リモートワークや短時間出社を組み合わせつつ子育ても可能だからです。
たとえば午前中はリモートで会議、午後はシッターに任せて顧客訪問や商談、夕方に帰宅しバトンタッチという働き方ができます。
そもそも乳児の時期はただ寝てるだけで、泣いたらミルクをあげたりオムツを替えたりするぐらいですから、ベビーカーで子連れ出社してもさほど問題はないでしょう。
しかし半年ぐらいでハイハイをするようになれば目を離すことができないし、職場に連れて行くわけにもいきません。自宅にいてもまとわりついてくるので仕事にならない。
そこにシッターがいてくれれば安心です。
実際、夫婦共働き世帯が主流の海外では、シッターや家政婦を雇うのは日常的で、お金持ちの家庭では半ば常識です。
日本とは入管制度の違いか労働法の違いかわかりませんが、海外では彼らを安価に雇えます。私がフィリピン滞在中に雇っていた住み込みの家政婦費用は、1人あたり月1万円くらいでした。