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世耕氏「ワクチン証明で酒提供」案に賛否は二分。供給不足で打てない若者はまた我慢?投票率高い高齢者層を取り込む策か

自民党の世耕弘成参院幹事長が、飲食店での酒の提供時にワクチン接種証明の提示を求めるなどの方策を、政府に対して検討するよう求めたと報じられ、大きな反応を呼んでいる。

報道によると世耕氏は、私案として「接種結果の提示か、抗原検査をその場で受けてもらう。全てのお客さんに対応している店に関しては、例えばお酒を出してもいいことにする」、さらに「実証実験でも構わないので、そういった対応も現場の声を聞いて考えていかなければいけない」と語ったとのこと。

いっぽうで、飲食業界への圧力とも取れる発言で批判が集中している西村康稔経済再生相に対しては「緊急事態宣言の発出などで本当に相当多忙を極めているんだろうと思う。その分、特に飲食業を中心とする現場の声が聞こえなくなっているのではないか」と、その立場を庇ういっぽうで懸念を示すコメントをしている。

世耕氏の「私案」にネット上の反応は二分

海外では、話題になった「ワクチンくじ」をはじめ、国や自治体によるワクチン接種者への優遇策が数多く展開されている状況。いっぽう日本国内では、苦境が続く飲食店やホテルなどの間で、接種者に割引や特典を与えるサービスが広がっている。

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ワクチンの接種証明書に関してだが、申請の受け付けを今月26日から全国の市区町村で始めると、12日の記者会見で加藤官房長官が表明。当面は、証明書の提示を条件に入国後の防疫措置が緩和される国・地域への渡航者に限って申請するよう呼びかけるなど、海外渡航者向けの発行に限定されるようだが、経団連は証明書を活用した飲食店での優遇措置や国内旅行などの制限緩和など、接種証明書の幅広い活用を政府に求めている。

そんな状況下で提示された世耕氏による「ワクチン証明提示による酒の提供」プランだが、ネット上の反応は二分している状況で、「合理的な策」だと賛成する声も多いようだ。

酒類の提供禁止などで窮地に追い込まれている飲食店のことを考えれば、接種証明などの提示が必要とはいえ、それによって以前のような営業形態に戻れるのであれば、早急にやったほうがいいのではという意見は、確かにうなずけるところ。

また、先日の大谷翔平選手が出場したメジャーリーグのオールスターゲーム、さらにテニスのウインブルドン大会で、ノーマスクの観客たちでいっぱいだったのを見て、欧米との接種率の差を痛感させられた層は、この策に納得せざるを得ないのではないか、といった見方も。一部からは酒類の提供だけでなく、ライブやスポーツなどのイベントにおいても、接種証明を活用して欲しいといった声もあがっている状況だ。

接種率が高い高齢層から歓心を買う策?

そのいっぽうで、「接種証明は海外渡航時のみの活用じゃなかったのか」と反対する意見も根強い状況。ワクチン接種はあくまでも「個人の判断」でするもので、このようなワクチンを打った人を優遇するような政策は、いわゆるワクチン差別や市井の分断をも招きかねない、といった声だ。

先述の通り、西村経済再生担当大臣による酒の提供を続ける飲食店への金融機関からの「働きかけ」発言によって、野党からは西村氏の辞任を求める声があがるなど、激しい反発と批判の声にさらされている政府。これまでは何かと「酒」を目の敵にしてきた政府だったが、14日の記者会見で加藤官房長官が酒類業者への支援を検討すると発言するなど、ここに来てその態度を変化させている。

今回の世耕氏によるプランも、そういった情勢を踏まえたうえでの、酒類を提供する飲食店に対しての懐柔策だとも、見方によっては捉えられるところ。さらに、来る衆院選を睨んで、接種が優先的に進められているうえに投票率も高い、高齢層の歓心を買うための策なのでは、といった邪推も一部からはあがっている状況だ。

となると、最近のワクチン不足もあって接種率がなかなか上がらない若者層からは、反感を大いに買いそうだが、とはいえ今回のプランも、まだ世耕氏の「私案」レベルの話で、実現するとしてもまだ先の話となりそう。若者層も含めて今よりも接種率があがった段階となれば、現在は二分している反応もまた変わる可能性も大いにありそうである。

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