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無観客でも五輪交通規制「貴族レーン」に都内混乱、自粛下の“命綱”通販やネットスーパーも遅延続々。赤羽国交相は「都や組織委の依頼」と批判回避

いよいよ間近に迫った東京五輪だが、開幕に先駆けて東京都内などでは大規模な交通規制が19日より実施され、巻き込まれた人々から大ブーイングが巻き起こる事態となっている。

報道によると、交通規制の対象となるのは大会関係者の輸送ルートで、都心へ向かう首都高速道路などでは、交通の状況に応じて入り口の閉鎖や車線規制が行われる。また、会場周辺の一般道路でも、競技の当日を中心に信号の時間調整や通行止めなどの措置がとられるという。

さらに、東京都と千葉県の会場周辺にある11区間では、大会関係の車両以外の通行を禁止する「専用レーン」と、大会関係の車両に進路を譲らなければならない「優先レーン」の運用が開始。違反した場合は普通車で違反点数1点、反則金6,000円が科されるとのことだ。

いっぽうで首都高では、マイカーの通行料金を午前6時から午後10時まで1,000円上乗せする渋滞対策を開始。夜間はETC搭載車を半額にするなど時間帯により料金を変えることで、日中の混雑緩和を図るとともに、交通需要を昼から夜にシフトさせる狙いがあるようだ。

「40分早く家を出て20分遅刻」社会生活に大きな影響

この大規模な交通規制に対しては、多くの戸惑いの声があがる結果に。特に、首都高の料金1,000円上乗せの影響により、その他の自動車道あるいは周辺の一般道が大混雑となったようで、特に都心部の周辺を繋ぐ外環道では、事故発生の影響もあり、酷い時間帯では20キロ近くの渋滞となった模様。ネット上では「40分早く家を出て20分遅刻」といった声も見られるなど、通勤や客先への移動などに大きな影響が出たという人は少なくないようだ。

このオリンピック・パラリンピック期間中の大規模規制による渋滞は、宅配業界にも影響を及ぼすとの予測が。日本郵便は、東京の都心部にくわえ都外でも競技が行われる県などで、郵便物や宅配便の配達に半日から1日程度の遅れが見込まれるとのこと。またヤマト運輸や佐川急便なども同様に、競技会場周辺の地域では荷物の配達に遅れが出るとの見通しのようだ。

そうなると、当然のように影響が出てくるのがネット通販やネットスーパー。特に東京都は緊急事態宣言が発令中というのにくわえ、最近では連日暑い日が続いていることもあって、ネットスーパーの利用者が増えていると推測されるが、すでに配達予定時間から大幅に遅延する事態が発生しているところもあるようだ。

このように、大規模規制の影響をモロに受けている宅配業界などには同情の声も多いが、五輪のオフィシャルパートナーに名を連ねている日本郵便には厳しい視線が向きそうな情勢。先の聖火リレーの際、その影響で郵便物などの配達に遅延すると発表して反感を買った同社だが、今回も同様に「公共サービスより五輪か」との憤りの声を多く集めそうだ。

国土交通省も大混乱を予測していた?

このように都民を中心に多大な影響が発生している大規模な交通規制。今回の東京五輪開催に関しては、オリンピックというイベントが何かと「優遇」「特別視」される事象を多く見せつけられて来ただけに、今回の大規模交通規制によって登場した「専用レーン」「優先レーン」に対しても、「上級レーン」「貴族レーン」などと早くも揶揄される事態に。さらに、このような状況が向こう1か月ほどは続きそうということで、経済活動への悪影響を懸念する声も多く浮上している。

いっぽうで、ちょっと解せないのが「無観客開催なのに交通規制は必要なのか」という点。お笑いタレントの有吉弘行さんも、先日自身のラジオ番組で、無観客開催が決まったにも関わらず、首都高が値上げすることに納得がいかないといった発言をしているが、同様の思いは多くの方が抱えているのではないだろうか。

先週16日に行われた国土交通省の赤羽大臣による定例会見の場でも、記者からそのような疑問、特に首都高の1,000円上乗せ策の是非に関しての質問が飛んだようだ。それに対して赤羽国交相は「そもそも、観客の輸送は、乗用車を想定せず、公共交通機関を利用することを原則としていることから、無観客開催の決定によって、首都高速の交通量が減少することは見込んでおりません」「現在の首都高速の交通量は例年と同程度であり、現状においても渋滞が発生しているため、大会関係車両の円滑な移動のためには、交通量を削減する必要がある」とコメントしている。

要はコロナ発生前後で交通量に変化はなく、交通規制は必要だというのが赤羽国交相の見方のよう。ただ、その回答の直前には「(首都高の1,000円上乗せ策に関して)国土交通省や首都高速道路会社が独自で決定した施策ではなく、あくまで、東京都及び大会組織委員会からの協力依頼に基づき、首都高速道路会社が実施するものです」と、責任の所在を都や組織委になすりつける発言も、ちゃっかりとしている。多くの都民などから大ブーイングといった今の状況だが、どうやら国土交通省はその点をしっかりと事前予測していたようだ。

Next: 開幕前から「早よ終われ」の声

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